2010/3/10 ろっぽんプロジェクト 読売新聞に紹介される!

3月5日に行われた「ろっぽんプロジェクト」最終報告会のもようが読売新聞に紹介されました!
詳しくは記事をご覧ください。

読売新聞記事「視聴者との交流プロジェクト キー局側も意識高まる」

カテゴリー: ろっぽんプロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/3/8 ろっぽんプロジェクト最終報告会

「ろっぽんプロジェクト」3年間の活動報告会&
パネルディスカッション「テレビは視聴者と協働できるのか?」

2010年3月5日、東京大学本郷キャンパス「福武ホール」で、東京大学とテレビ朝日の共同研究「ろっぽんプロジェクト」の活動報告会が開催されました。2007年から3年間、視聴者とテレビ局のより良い関係作りを目指して行ったさまざまな活動を総括し、研究的側面からの評価を行った後、「テレビは視聴者と協働できるのか」と題して、パネルディスカッションを行いました。参加者は約70名。研究者、民放、BPOなどの関係者だけでなく、「ろっぽんプロジェクト」で行ったワークショップや、メディアリテラシー講座などに参加してくださった一般視聴者の方の姿もありました。
ろっぽん1.png
■ 活動報告
テレビ朝日から、プロジェクトに参加してきた「お客様フロント部」のスタッフからの、活動報告は「『ろっぽん』を通して、3年間いろいろな新しい出会いがありました。」という感謝の言葉からスタート。
「ろっぽんプロジェクト」の第一ステップは、以前からテレビ朝日で行ってきた「社内見学」「出前授業」「テレビ塾」などの活動を改めて見直すことでした。これらの活動は総合学習支援の一環として行われてはきましたが、「ろっぽんプロジェクト」を通して研究者と交流することにより、メディアリテラシー的な観点から、それぞれの活動を見直すきっかけを得て、「見学の生徒さんたちが何を考えているのか」「放送の仕組みを知ってもらうとはどういうことか」と、スタッフ一人一人の意識が変わったことが報告されました。
次のステップとして「ろっぽんプロジェクト」が取り組んだのは、視聴者とテレビ局のスタッフが語りあい、気づきあう場を提供する、ワークショップのデザインでした。
「テレビ・パズル」(2009年3月〜バージョンを変えて3回ほど実施)のワークショップには高校生から85歳までの視聴者とテレビ局スタッフがひとつのテーブルを囲んで「それぞれにとってのテレビのイメージ」の絵を描き、一緒にテレビについて語り合うというシンプルなものですが、通常なかなか対等な会話が成立しにくい関係性の中に、画用紙、ペン、模造紙というシンプルなツールが入ることによって「送り手」「受け手」の立場を超えて、「対話の場」が立ち上がり、本プロジェクトが求めてきた「広がり」と「自由度」を持つパイロットモデルとして大きな可能性が示されたことが報告されました。
 夏休みの親子見学会の機会に行った「ろっぽん夏休み・親子ワークショップ」(2009年8月実施)は、館内見学とクイズを交えてのワークショップを組み合わせ、見学前と後でのテレビ局のイメージの変化を絵に描いてもらうものでした。テレビ局の担当スタッフたちも多くのことを気づかせてもらったそうです。
「見学の前と後では絵がずいぶん違っていて、自分たちの行っている館内見学の影響が大きいことが分かり、うれしいと同時に責任が重いことを感じました。」
「見学する親子のためにクイズを作ったのですが、クイズを作りながら自分の伝えたい点を整理できました。」
☆「ろっぽん夏休み」は、昭和女子大学人間社会学部の駒谷真美准教授〈発達心理学〉の研究論文にまとめられており、学問的な観点からの分析が、この後ありました。
ろっぽん2.png
テレビ局が地域コミュニティに出かけていって、自治体と連携して作り上げるオーダーメイド型の大人向け「出前講座」の一環として、中央区市民カレッジと協力して行われた「大人のためのメディアリテラシー講座・全5回」(2009年10月実施)では、メディアリテラシーの定義や、世界のテレビ事情といったメディアに関する講義、テレビ朝日の館内見学とニュース体験に加えて、グループで架空のテレビ局「築地市民テレビ」を想定した3分間の番組づくりまで行いました。どちらかというとご高齢の参加者が多かったのですが、受講者から「頭が痛くなるほど、面白かった」という感想が出るほど盛り上がり、その好奇心と行動力のパワーにテレビ局員が圧倒されっぱなしだったことも報告されました。
■評価・分析
「ろっぽんプロジェクト」の活動を総括して、評価・分析していただいたのは、駒谷真美さん(昭和女子大・准教授)と、境真理子さん(桃山学院大学・教授)のお二人です。
ろっぽん3.png
発達心理学とメディアリテラシー、親子コミュニケーションとメディアの関係を研究していらっしゃる駒谷真美さんには、「ろっぽん夏休み・親子ワークショップ」の企画段階から参画し、親子見学の理解を深めるために作成した『見学クイズ』をメディアリテラシーの観点から監修していただきました。実際に参加した親子に見学会での親子コミュニケーションの有効性や、学習効果などについてのアンケートを行い、それを詳細に分析した結果を発表。テレビ局の館内見学が持つメディア教育における効果性や、親子でメディアリテラシーを学ぶことによる効果の高さ」などの点を評価されました。
 境真理子さんには、プロジェクトの1年目にテレビ朝日のそれまでの活動を分析した立場から、3年間の「ろっぽんプロジェクト」の活動を包括的に振り返っていただきました。
ろっぽん4.png
 「当初、研究者からは、テレビ朝日の活動は『メディアリテラシーというより、テレビ局の単なるPR活動ではないか』という疑問の声もありました。しかし、3年間のプロジェクトも終盤に来て、そうした評価の問題よりも、『テレビ局と視聴者が出会うことの意味』が問われるように、質が変化したのではないかと思います。」
特に大人向け出前講座でテレビ局と地域との出会いがあったことに注目。一般にローカル局は地域との関係も密接だが、はなかなか視聴者の顔が見えないといわれるキー局が放送エリアの中に出て行くことで、地域の住民との出会いがあったことは、「視聴者との直接対話、交流空間の創出、社会教育への関与、地域の発見」などの成果があったと評価。今後の課題として、社内外へこうした活動をひろげていくためには「活動から得た経験を『言語化』する必要がある」ことを指摘した上で、『メディアーリテラシー』は、いわば『メートル原器』的なものとして、メディアと市民社会との関係を測るものさし、基準だと考えられるのではないか」とまとめられました。
 
■パネルディスカッション
休憩を挟み、東京大学大学院・水越伸さん(東京大学・教授)を司会とする「テレビは視聴者と協働できるのか」と題したパネルディスカッションが行われました。パネラーとしては、職場学習論の立場から「大人の学びを科学する」ことを専門分野とする中原淳さん(東京大学・准教授)、メディア環境と人間の関係性を記述するメディア論的見地からテレビも研究対象とされている水島久光さん(東海大学・教授)、そして、テレビ朝日社員と大学院生の両方の立場で「ろっぽんプロジェクト」に関わった古川柳子(東京大学大学院・テレビ朝日)が参加しました。
ろっぽん5.png
中原淳さん(東京大学・准教授)の発表(要旨)
 私は「職場学習論」つまり、大人が社会に出てから会社などの組織の中で、どう学ぶかを研究してきた。最近では社会がリキッド(流動)化していることの現れか、「働く意味とは?」といった基本的な疑問が、働く人たちの中で問われることがよくり、その中で、企業文化の中で「しみついいてきたアカを落とす」必要性が求められるようになってきた。組織の中で、「一人前」になるときに、しらずしらずに身についてしまったこの「アカを落とす」ことを『アンラーン』と呼ぶが、いま求められているイノベーションや新しいアイデアにつながる『アンラーン』の契機として、「職場」プラス「社外」という要素、つまり「越境」ということが重要だと考えている。
「ろっぽんプロジェクト」の報告もこうした「越境」的な活動として、非常に興味をもって拝聴した。ただ、「テレビ局の学び」「気づき」といった表現を安易に使うだけでなく、いったい何に「気づいた」のか、仕事なのか、メディアなのか、何を『アンラーン』したのか?ということをきちんと洗い出していくことが必要ではないかと感じる。また、個人が気づいたり、変わるというだけではなく、組織レベルでどう変わったか?「気づき」を仕事の変化につなげられたか?といったことが、今後は問われていく必要だろう。
水島久光さん(東海大学教授)の発表(要旨) 
 メディア・リテラシーは当初は、マスメディアという「送り手」側の圧倒的な影響力に対して、「受け手」がメディアを「読み解く」ことで、マスメディアという一種の「権力」に抵抗するためのロジックとして生まれてきた。しかし、ネットの広告費がついに新聞を追い越し、いわゆるマス4媒体(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の落ち込みには歯止めがかからず、さらに、複数のメディアを組み合わせたメディアミックスという手法がマーケティングの大きな流れとなりつつある。また見るほうも、ダブルスクリーン、トリプルメディアといった複数のメディアに同時に接触することが当たり前の時代になっている。
 こうしてマスメディア自体が弱っていく中で、かつての「抵抗できないので、読み解く」というメディア・リテラシーのアプローチだけで、果たしていいのかどうか。そういった問いの中から2000年頃に生まれたのが、「送り手」である放送局と「受け手」である中高生が「互いに学びあう」という民放連メディアリテラシープロジェクト型の活動だ。今年度、私は鹿児島テレビ(CX系)の実践支援で何度か現地に赴いたが、実施局には何かをやらざるを得ないという危機感があふれており、「送り手」と「受け手」の循環モデルという「新しいメディア・リテラシー」が切実に求められていることを実感した。いま、メディアと社会の関係性をつなぐ方法論としてメディア・リテラシーが求められている。
古川柳子(東京大学大学院・テレビ朝日)発表(要旨)
 「ろっぽんプロジェクト」の活動を通して、テレビ局と視聴者が協働していくために、必要なことがいくつか見えてきたように思う。プロジェクト開始当初、「テレビ朝日の活動は、広報・企業PRですよ」と研究者側から指摘され、テレビ局側のスタッフは当惑していた。そうした中で、メディア・リテラシーの意味をテレビ局スタッフや視聴者に理解してもらうためには新しい活動を「かたち」にする必要があり、活動を継続するためには、それがある程度の「広がり」と「自由度」のあるモデルである必要があった。視聴者が現実に参加できる時間や、テレビ局員の日常業務と折り合いなども考慮にいれながら、ワークショップ型の活動モデルとして「テレビ・パズル」を作りあげるプロセスをテレビ局と研究者で共有できたことは大きい。また、人事異動などがある会社組織の中でプロジェクトを継続するには、メディア・リテラシー活動の核となる部署が明確になっていることも大事。テレビ局と大学、テレビ局と地域市民といった「異文化」との連携には摩擦や対立がつきものだが、「ろっぽんプロジェクト」に関わった、視聴者、テレビ局員の多くの人々が、「メディアリテラシーは大変で、難しいけど、すごく楽しい」という共通の感想を持った。こうした「楽しさ」という要素が、対立を乗り越えたり、「学び」に繋がることの意味も、考えていく必要があると思った。
 パネラーの発表に続けて、「ろっぽんプロジェクト」を指導してきた水越伸さん(東京大学教授)も加わり、ディスカッションが行われました。
ろっぽん8.png
 プロジェクトに参加したスタッフの「個人」の気づきを、どう「組織」としての学習に拡げていくことができるのか、視聴率以外に「製品」である「番組」を振り返ることがないテレビ局にとっての、「視聴者」と共にテレビを考える機会を作ることの重要性などが議論されました。
水越さんからは、「ろっぽんプロジェクト」を始めた当初、海外事例の調査研究やクロスメディア展開など、かなり広範囲のねらいを持っていましたが、諸々の現実的な要因の中で、当初のデザインと違って、一部の要素が大きくなり、結果的にうまくいったと感じていることが語られました。その要素とは一言で言えば、「送り手のメディア・リテラシー」。「テレビ局のメンバーも研究者も、このプロジェクトは、もくろみとずれて盛り上がっているという不思議な状況」ではあるものの、「ろっぽんプロジェクト」の3年間に、プロジェクト参加者には、強い意識の変化が起こりました。こうしたプロジェクトをきっかけに、組織やコミュニケーションが急速に変わることの可能性は、十分に提示できたのではないかと、水越さんは総括し、3時間におよぶ報告会は終了しました。(報告:ろっぽんプロジェクト テレビ朝日参加メンバー)

カテゴリー: ろっぽんプロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/3/7 MELL EXPOに民放連プロジェクト実践局多数参加

 3月5日から7日まで東京大学(東京都文京区)で開催されたMELL EXPOに民放連メディアリテラシープロジェクト実践局が多数出展されました。初年度の実践局であるTSBテレビ信州は、現在、長野市の公共施設「長野フルネットセンター」の指定管理者でもあり、その公的な場所を、長年に渡るメディアリテラシー実践の活動の場として活用するなど新たな試みを紹介されました。また今年度の実践局は3局とも出展されたほか、民放連自体としても出展もありました。さらに、過去の実践局の方も、会場に足を運んでくださいました。中には、4月から新しい実践を始めるので「来年は絶対出展します!」と宣言をしてくださった局も。会場にこられた放送局の方々は、とてもパワフルで、たくさんの方々と交流し、よく笑っておられたその表情が印象的でした。
 MELL EXPOの締めくくりには、来年度のメルプラッツオーガナイザーである伊藤昌晃さん(愛知淑徳大学)が「100年に一度の危機とよく耳にするが、それは100年に一度しか問えないことが、今問えるということでもあるだろう」と挨拶されました。テレビも開局以来の危機が叫ばれていますが、それは今、50数年来の転機でもあると同時に、50数年を経てはじめて問えることがあり、その巡り合わせの時期だともいえます。その今に、何を問い、どう答えていくのか。会場に足を運んでくださった放送局や、関心をよせる多くの方々のエネルギーに期待と願いを抱いた3日間でした。
MELL1.jpg
MELL2.jpg

(報告:林田真心子 写真:劉雪雁)

カテゴリー: ろっぽんプロジェクト, 民放連プロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/3/5 ろっぽんプロジェクト活動報告会 ご案内

「ろっぽんプロジェクト活動報告会:テレビは視聴者と協働できるのか」

場所:2010年3月5日(金) 15時30分〜18時15分(開場15時)

会場:東京大学大学院情報学環 福武ホール地下2階  http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/

   地下鉄丸の内線・大江戸線[本郷三丁目駅]から徒歩6分
   地下鉄南北線[東大前駅]から徒歩8分

■参加費:無料(事前登録:不要)

■主催:ろっぽんプロジェクト(東京大学&テレビ朝日共同研究プロジェクト)

   /

概要
 東京大学とテレビ朝日の共同研究「ろっぽんプロジェクト」は、視聴者とテレビ局のよりよい関係創りのための学びあいの場や対話の仕組みを考える実践活動を2007年度から進めてきました。この中で、テレビ朝日が行ってきた学校での「出前授業」、テレビ局での「館内見学」「テレビ塾」などの新バージョンや、中央区の区民カレッジと協同で開いた「大人のためのメディア・リテラシー入門講座」、視聴者の皆さんと共に開発した対話ワークショップ「テレビ・パズル」など、新しい試みがいろいろと生まれてきました。
 今回、3年目の区切りの年を迎え、これまでの活動の成果を報告すると共に、視聴者とテレビが協働していくための可能性について話し合うシンポジウムを開きます。メディアの形態も大きく変わっていく中、どうしたら視聴者とテレビ局が「送り手―受け手」の境界を越えて協働しながら、よりよいテレビを創っていくことができるのか、一般参加の皆さんともご一緒に考えていく場としたいと思います。

プログラム
15時30分〜15時40分 ごあいさつ 

水越伸(東京大学大学院情報学環教授)&鈴木裕美子(テレビ朝日お客様フロント部部長) 

15時40分〜16時30分  ろっぽんプロジェクト活動報告

鈴木裕美子・上野敦史(テレビ朝日お客様フロント部)

駒谷真美(昭和女子大学人間社会学部准教授)

境真理子(桃山学院大学国際教養学部教授)

16時40分〜18時10分  パネルディスカッション  司会 水越伸

パネリスト 中原淳(東京大学大学総合教育センター准教授)

水島久光(東海大学文学部教授)

古川柳子(テレビ朝日コンテンツビジネス局&東京大学大学院博士課程)

18時10分〜18時15分 まとめのごあいさつ

P1010016.JPGP1010017.JPG

*この報告会に続き(19:00-20:30)、同じ会場で メディア表現、リテラシーに関心を持つ人びとが一堂に会するMELL EXPO 2010(3月5日〜7日)」のオープニングセッションが始まります。こちらもふるってご参加ください。 
プログラムの詳細と参加申し込み方法についてはウェブをご覧下さい。http://mellplatz.net/

カテゴリー: ろっぽんプロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/3/2 民放連プロジェクト 読売新聞で紹介される

2月19日に開催された今年度の民放連プロジェクト報告会について、その内容と今年度の実践報告が読売新聞の記事として紹介されました。
見出しは「局と地元との交流大切」。ローカル局と地域が結びついていく必要性と可能性について、記事でふれられています。詳細は記事そのものをご覧ください!

3月2日読売新聞記事

カテゴリー: 民放連プロジェクト | タグ: | コメントは受け付けていません。

2010/2/19 今年度の民放連メディアリテラシー実践 報告会終了

今年度、3局で展開された民放連プロジェクトの報告会が、2月19日、千代田区紀尾井町の民間放送連盟で開かれました。全国各地から放送局や新聞社の方など70人以上の方が集まりました。

P1010082.JPGのサムネール画像のサムネール画像P83.JPG

会の冒頭には、このプロジェクトチームの主査である日本テレビの戸恒直さんより、「ちょうどオリンピックで盛り上がっているけれども、五輪以上の面白い報告になると思います」とのご挨拶がありました。その言葉をひきうけるように、今年の実践局である和歌山放送、鹿児島テレビ、九州朝日放送の発表は、それぞれ予定時間を大幅に超過。時間管理が得意なはずの放送局の皆さんが、予定を1時間以上「おした」背景には、皆さんが、報告したい経験を山のようにもっていたことの現れともいえるでしょう。それ自体が大きな実りといえそうです。「プロジェクト終了後、高校生から手紙をもらい”信頼してくれてありがとう”と書いてあったのがうれしかった」「局内での理解をもっと得るにはどうしたらいいのか」など、悩み、喜び、どれも率直で、時間がいくらあってもたらないといわんばかりに、みなさん夢中で思いの丈を語られました。
パネルディスカッションでは、東海大学の水島久光さんからは「どこまで子供たちと向き合っていくのか、局の人がプロ意識の上にたって、ぎりぎりまで考えていた。それはさらにプロ意識を広げていくことにつながることを実感した。」桃山学院大学の境真里子さんは「長年このプロジェクトをみてきたが、局、子供たち、社会、それぞれがこの10年で、ものすごく変わった。最初の頃はテレビ局に切羽詰まったという感じはなかった。いまは違う。その中でこのプロジェクトに参加される送り手の皆さんの様子を拝見していると、次の10年を切り開くことができるかもしれないと感じている。」といった指摘がありました。また、独自にメディア・リテラシー実践を展開する青森放送やテレビ朝日の方からのご意見や、状況紹介もありました。

  87.jpg

来年度以降も、このプロジェクトは続きます!実践のこれからの展開については、このウェブサイトとともに、3月5日から東京大学で開かれる「MELL EXPO 2010」の中でも議論を進めたいと思っています。(詳細はメル・プラッツHP
参加された局の方、高校生などすべてのみなさま、1年間本当におつかれさまでした。(報告:林田真心子)

カテゴリー: 民放連プロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/2/7 KBC実践終了! 最終報告会

最終合同ワークショップ兼「おっきーのラジドラ学園セミナー」

[日 時] 2010年2月7日(日)
[会 場] 九州朝日放送

KBCラジオ実践プロジェクト最終日の合同ワークショップは、初めの時間が子ども文化コミュニティのシアターコースの子どもたちやおかあさんたちとの交流、午後からは「おっきーのラジドラ学園セミナー」として行われ、最後にふりかえりを行う形でありました。
 
<参加者>
筑紫女学園高校放送部、福岡大学大濠高校放送委員会、東京大学大学院水越研究室、NPO法人子ども文化コミュニティ、KBCラジオ関係者、福岡県高文連放送文化専門部会(参加11校 生徒46人 顧問15人) 

<全体の流れ>
 11:30       準備スタート
 12:00〜13:00 第1部 交流会「博多雑煮 DE ランチばい!」
 13:00       受付開始
 13:30〜15:00 第2部 全体セミナー(作品試聴など)
 15:15〜16:05 第3部 分科会(番組づくりは相互批評)
 16:10〜16:30 第4部 閉会式(表彰式)→解散
 16:35〜17:30 第5部 ふりかえり(事後インタビュー・まとめ)

<プログラム>
第1部12:00〜13:00 交流会「博多雑煮 DE ランチばい!」

「食」をテーマに異年齢・異文化交流を特徴としたKBCラジオ実践の最終日はプロジェクト関係者が一同に集まってお雑煮でお昼を一緒に食べて交流しました。
最終発表会を目前に番組制作に頑張った筑女と大濠の放送部の皆さんを子ども文化コミュニティシアターコースの子どもたちとお母さんが「博多雑煮」で激励。暑い夏にはじまったこのプロジェクトを写真でふりかえったり、子ども文化コミュニティの子どもたちが企画したビンゴゲームで交流しました。おいしくて心温まる交流で高校生の緊張がやわらぎました。

  KBC27-1.pngのサムネール画像KBC27-2.pngのサムネール画像

  KBC27-3.pngのサムネール画像KBC27-4.pngのサムネール画像

豪華な博多雑煮!お餅は中学生がつきました。お母さん方のふるまいでいただきま〜す!


  KBC27-5.pngKBC27-6.png
 

中学生がみんなで楽しめるビンゴゲームを企画! ビンゴ!チョコをもらいました。


  KBC27-7.pngKBC27-8.png

サプライズで中学生が高校生に手作りのミサンガをプレゼント!高校生は大喜び。手首に巻いて午後からの発表会に臨みました。

第2部 13:30-15:00 「全体セミナー」
KBCラジオのおっきーの司会で、KBCの早川さん、高文連専門委員長の藤田先生のごあいさつで全体セミナーがスタートしました。

  KBC27-21.pngKBC27-22.png

  KBC27-23.png
KBC27-24.png 

アドバイザートリオの漫才ではなく民放連メディアリテラシープロジェクトの説明。

 

  KBC27-25.png
KBC27-26.pngのサムネール画像 

いよいよ3作品の視聴が始まります。はじめに各班代表が自己紹介と作品の簡単な紹介をします。

1.筑紫女学園高校 ダイエット班
タイトル「ジャストライク」  
テーマ:ダイエット 自分たちに身近なことと女の子の興味のあるテーマを選んだ

★主な感想より
・テーマが身近に感じられた
・場面転換の仕方が良かった

2.福岡大学附属大濠高校 アレルギー班 
タイトル「あなたに知ってほしいアレルギーのこと」
テーマ:アレルギー アレルギーの子ども自身が食べ物を選んでいるのを最初は好き嫌いと思ったが、保護者の話を聴いてすごいと思った。同級生にもアレルギーの人がいて、周囲の人の理解が少ないこともわかったのでテーマに選んだ。

★主な感想より
・専門家だけでなく一般の人のインタビューも取れていてよかった。
・いろんな意見が聞けてよかった。

3.筑紫女学園高校 バイキング班 
タイトル「HAPPY★HAPPY☆ラブご飯」 
テーマ:ご飯について 最初テーマをバイキングにしていたが試行錯誤の結果一番身近な「家ごはん」をテーマにした。リスナーが飽きない、興味を持てる、テンポの良いものを目指した。

★主な感想より
・全体的な雰囲気が面白かった。
・ドッキリがあったりして面白かった

  KBC27-31.pngKBC27-32.png

福岡県内各地から集まった高校生に感想を聞きました。どの高校生もしっかりと自分の意見や感想を言ってくれました。

第2部終了後は休憩をはさんで分科会会場づくりをみんなでしました。番組づくり分科会は同じ会場で、アナウンス分科会は1F事務局室A・Bへ移動しました。

第3部 15:15-16:05 「分科会」

<番組づくり分科会> 進行 水越さん・林田さん
グループディスカッション〜相互批評と感想を語る会〜

KBCラジオ実践プロジェクトで番組づくりをしてきた筑紫女学園と大濠高校の高校生に、高文連参加各校の高校生や顧問の先生方が加わって、各班の作品について感想や意見を15分ずつ語り合いました。

  KBC27-41.pngKBC27-42.png

★アレルギー班について意見交流
・専門用語がわかりにくいところがあったが、解説という形でわかりやすくなった。
・漢語調的な話し方で硬いと感じたところがあった。
・アレルギーにとどまらず、人として、人との関係に言及していてぐっと感じるものがあった。
・テーマどおりにできていた。
・知識としては知っていたが、改めて考えたことはなかった。現実感があってよかった。話の筋が通っていた。
・インタビューが変なところで切れているところがあった。
・インタビューの部分が長く退屈なところがあった。
・アレルギーを知っている人にとっては知っていることばかりだったので、別の話題もいれたほうが良かった。

★ バイキング班について意見交流
・ドッキリが新鮮だった。楽しかった。
・食べる人と、つくり手両方にインタビューしていたのがよかった。
・インタビューを受ける人が緊張していないようだったのはなぜ?
・流れがきれいにまとまっていた。しゃべり方が面白かった。
・自分の気持ちとあわせて聞けた。
・ドッキリは何のため?ひつようだったのですか?
・BGMが多いと感じた。
・何を伝えたかったのかぼけてしまった。
・テンション高すぎな感じ
・テーマの「ラブご飯」は言葉としてインパクトがあるのに最初にしか出てこないのはもったいない。もうひとおしすればよかったのでは?

★ ダイエット班について意見交流
・声が聞き分けやすかった。
・効果音の使い方が良かった。
・面白かった。
・テーマが身近だった。
・途中から恋の話になってしまって何がメインかわからなくなっていた。
・ストーリーはあったけど棒よみっぽかった。
・誰が主人公かわからなくなっていた。
・登場人物がごちゃごちゃになっていたところがある。
・本当にあったことと聴いても18キロダイエットは極端すぎる感じがする。
・ダイエットの危険性については入れないのか?
回答:危険性について(死とか拒食症とか)は番組(ドラマ)放送上ふさわしくないと思いはずした。

作品に対しての意見や感想は、同世代の高校生同士ということもあって、実に率直に語られました。いいところはしっかりとほめ、課題に思ったことや、改善点も提案したりで、共感したり、笑いがおこったりのあっという間の15分でした。どの立場の高校生も互いに刺激しあい触発される様子が伺えました。

第4部 16:10〜16:30 「閉会式」
実践プロジェクトの3班すべてが表彰されました。筑紫女学園の板谷さんが特別局長賞(個人賞)をもらいました。KBCラジオ小嶋局長より講評がありました。

  KBC27-51.pngKBC27-52.png

  KBC27-53.pngKBC27-54.png

ダイエット班  「みんなの共感をつかんだで賞」

アレルギー班  「よく取材をして、良い声を拾ったで賞」

バイキング班  「ラジオらしく楽しく聞けたで賞」

特別局長賞(個人賞)  板谷さん(筑紫女学園)

第5部 16:40〜17:30 「ふりかえり」
最後に民放連プロジェクトのふりかえりとまとめをしました。

  KBC27-61.pngKBC27-62.pngKBC27-63.png

<高宮 由美子>
・メディアリテラシーの実践でKBCラジオ局が一丸となって支えてくれました。なかなかないことで、めったに体験できない素晴らしい環境の中で活動できました。
・顧問の先生方の立ち居地とサポートはナイスセンスでした。
・すぐにはわからないかもしれないけれど、これからの人生にゆっくり、じっくりと役に立つ体験をしたと思います。
・メディアリテラシーに関わることは自分や人間関係が豊かになること。

<林田 真心子>
・自分がメディアに関わるようになったのは、メディエイト(つなぐ)言葉どおりである事に気がついたから。 私と社会・人。新しい自分、新しい見方(新しいものさし)で物事を見ることができるようになった。
・メディアリテラシーに触れたことをきっかけにしてください。

<水越 伸>
・メディアリテラシーは老若男女すべてに必要です。これからのメディアはウェブ放送、ケータイ、etc.で、新しいコミュニティを作るものになっていくだろう。
・これで終わりではなく、今までやってこなかったこと、もの、これまでにないタイプの物を新しい目線で考えていってください。
・ 今回不満だったところをやり直していくこと。今回の体験を後輩に伝えることが、新しい今日からの課題です。

閉会の言葉 KBCラジオ局 ”おっきー”こと沖繁義アナウンサー
「私は今回関わることで、メディアリテラシーとは考えることだと学びました。これからがスタートです。一緒にがんばっていきましょう!」

  KBC2701.png
  KBC2702.pngのサムネール画像

1回目の発表の12月27日から約1ヶ月の間に、高校生の作品は大きな成長が伺えました。高校生はこれまでのプロセスの中で、たくさんのことを感じて、考えて、時には楽しんで、時にはもがき、苦しみ、時にはケンカもしながら何度も作り変え、修正しながら最終日を迎えました。どの班からも、感激の声が聞かれました。学校を通しての参加ということで、様々な制約に苦労したり、課題も多くみえた実践ではありましたが、両校の高校生たちの頑張り、顧問の先生方の温かい見守り、KBCラジオ局のみなさんの層の厚いサポート、協力してくださった多くの方々の力で、見事に乗り越え、最終日を笑顔で迎えることができたのだと思います。

KBC2703.png

今回の実践は、これからの人生に、ラジオの未来に、ゆっくり、じっくりと活きてくることでしょう。みなさん、本当におつかれさまでした。(報告:高宮由美子)

カテゴリー: 民放連プロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/2/19 民放連メディアリテラシー実践 報告会を開催

民放連メディアリテラシー実践プロジェクト 報告会の開催

2月19日(金)に、今年度の「民放連メディアリテラシー実践プロジェクト報告会」が開催されます。09年度の実践局である和歌山放送、九州朝日放送(ラジオ)、鹿児島テレビ放送の3社の報告とともに、プロジェクトの今後の展望などについて、ディスカッションを行います。一般の方も参加可能です。ぜひご参加ください!

日 時  2010年2月19日(金) 午後1時10分〜5時10分(開場:午後0時30分)
会 場  民放連3階会議室(千代田区紀尾井町3-23文芸春秋西館)
参加費  無料

プログラム

開会あいさつ 戸恒 直・民放連メディアリテラシー実践プロジェクト・チーム主査(日本テレビ放送網・コンプライアンス推進室長)

実践報告1(和歌山放送) 和歌山放送担当者/境真理子・桃山学院大学国際教養学部教授/沼 晃介・東京大学CREST研究員
実践報告2(鹿児島テレビ放送) 鹿児島テレビ放送担当者/水島久光・東海大学文学部教授
実践報告3(九州朝日放送) 九州朝日放送担当者/高宮由美子・NPO法人子ども文化コミュニティ代表理事
パネルディスカッション〜今年度の総括と今後の展望
今年度実施社担当者  水越 伸/境真理子/水島久光/高宮由美子

詳しい内容、および参加申し込みは民放連メディアリテラシー実践報告会開催案内まで 

カテゴリー: 民放連プロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/1/31 青森放送メディアリテラシー実践 報告会終了

06年度の民放連メディアリテラシープロジェクト実践局だったRAB青森放送では、その後も毎年、独自にメディアリテラシープロジェクトを進めています。今年度も青森県内の4つの学校から高校生が参加。地元で活躍する人たちを取材し、紹介する5分弱の企画(完パケ)を製作しました。
1月31日に行われた最終報告会では、このプロジェクトを中心となって進めている山内千代子アナウンサーとともに、東京大学の水越伸さんが(なんと!)司会をつとめ、1時間の特別番組を収録しました。直前まで編集に追われたチームもあり、すっかり疲れきっていたはずの高校生も、収録がはじまると、とにかく元気いっぱい!笑いのたえない収録でした。
報告会で、まず感じたのは、プロジェクトをサポートする弘前大学の学生のみなさんの層の厚さです。高校生の活動を精神的にもがっちりと支えつづけていることが感じられました。彼らにとってもメディアと自分との関係、自分と社会との関係を編みなおす機会になっているようでした。同時に、弘前大学の先生や、高校の先生、県で人材育成を担当する方なども、それぞれの立場からプロジェクトを支えており、そこに新たな環がうまれているようでした。

青森放送での今年のプロジェクトの詳細は、こちらのサイトでチェックを!

RABメディアリテラシープロジェクト報告

RAB1.jpgRAB2.jpgRAB3.jpgRAB4.jpg

(報告:林田真心子)

カテゴリー: 民放連プロジェクト | コメントは受け付けていません。

2010/1/24 和歌山放送ねくすと☆プロジェクト最終報告会

 民放連プロジェクトの助成を受けて、和歌山放送が取り組んできた “ねくすと☆プロジェクト”。ラジオ単営局である和歌山放送が、今のラジオが抱えている課題にしっかりと向き合い、次世代のあり方を構想していこうという意図を込めて、プロジェクトの名前が付けられました。
 活動の大枠としては、県下の高校生たちが、和歌山放送の若手局員のみなさん、および和歌山大学の大学生のサポートを受けつつ、デジタルカメラとICレコーダーを用いて、人から人へと何かを探し訪ねるかたちの取材レポートを重ねるというものでした。参加してくれたのは、県立向陽高校、県立橋本高校、県立和歌山高校の生徒たちで、お互いに学校が離れていたこともあって、学校ごとにチームを組んで5ヶ月間の取材活動をおこないました(各チームの取材テーマはこちら)。そして年末には、取材して採集した音源をもとに短い番組(録音構成)を制作し、合評会をおこないました。
 1月24日(日)の最終報告会は二部構成で、第一部では、年末の合評会でのコメントを踏まえて、制作しなおした番組を再び合評しました。ここでは高校生が主役で、半年間の活動を振り返るとともに、これから放送局でやってみたいことを語り合いました。
 そして第二部は、局員のみなさんが主役。和歌山放送がこのプロジェクトに取り組んだ意義、今後の展望について議論しました。
 僕なりにこの半年を振り返ると、決して事前準備が万端だったとは言えず、若手局員のみなさんの持ち前の明るさ、咄嗟の機転で、無事に乗り切ったという感が強いです(最初の全体会で抱いた印象ですが、その点は最後まで変わりませんでした・・・)。まず、良かったところを挙げておくと、

  1. 圧倒的に風通しがよく、楽しく協力的な協働体制でした。
  2. 活動を通じて、ラジオの未来、放送局の将来を市民と一緒に語る土壌を培うことができ、指導する側も学ぶ、一方的ではない「循環型」のメディアリテラシーの萌芽がみられたように思います。
  3. 多忙な若手局員をサポートしてくれた和歌山大学の学生さんたちも素晴らしく、来年度は主役として新しいプロジェクトに取り組んでもらいたいです。

 しかし課題も残りました。

  1. ウェブのシステムを導入したにも関わらず、ラジオ番組と連動することができず、クロスメディアの社会実験としては不徹底でした。高校生たちがラジオに興味を持ってもらうきっかけとして、ウェブを活用するという意味合いもありますが、それと同時に、ラジオとウェブを連動させることで、放送局として、ラジオに新しい価値を見出すことができないかということを試す機会でもあったのですが。
  2. メディアリテラシーの概念理解(言語化)の機会が希薄でした。(1)と関連しますが、高校生たちの日常に深く根づいているテレビのリテラシーと違い、番組制作による気付きを通じて、ラジオのことを体験的に学ぶということには限界があります。この課題を充分にクリアできなかったといえます。
  3. 若手局員のみなさんが忙しすぎ、和歌山放送の独自性を充分に発揮することができませんでした。高校生の日程調整もたびたび難航し、活動がなかなか前に進まなかったという面もありました。短期集中型のワークショップが、今後さしあたりは局の現状に合っているのではないかと思います。

 最後に告知です。和歌山放送では、2月14日(日)の正午から1時間、このプロジェクトの総括番組を放送するとのこと。和歌山県だけでなく、兵庫、大阪、奈良の一部、四国の一部でも聴くことができるようですので、お近くの方はぜひ。
文責:飯田 豊(福山大学)

カテゴリー: 民放連プロジェクト | タグ: | コメントは受け付けていません。