2010/1/24 和歌山放送ねくすと☆プロジェクト最終報告会

 民放連プロジェクトの助成を受けて、和歌山放送が取り組んできた “ねくすと☆プロジェクト”。ラジオ単営局である和歌山放送が、今のラジオが抱えている課題にしっかりと向き合い、次世代のあり方を構想していこうという意図を込めて、プロジェクトの名前が付けられました。
 活動の大枠としては、県下の高校生たちが、和歌山放送の若手局員のみなさん、および和歌山大学の大学生のサポートを受けつつ、デジタルカメラとICレコーダーを用いて、人から人へと何かを探し訪ねるかたちの取材レポートを重ねるというものでした。参加してくれたのは、県立向陽高校、県立橋本高校、県立和歌山高校の生徒たちで、お互いに学校が離れていたこともあって、学校ごとにチームを組んで5ヶ月間の取材活動をおこないました(各チームの取材テーマはこちら)。そして年末には、取材して採集した音源をもとに短い番組(録音構成)を制作し、合評会をおこないました。
 1月24日(日)の最終報告会は二部構成で、第一部では、年末の合評会でのコメントを踏まえて、制作しなおした番組を再び合評しました。ここでは高校生が主役で、半年間の活動を振り返るとともに、これから放送局でやってみたいことを語り合いました。
 そして第二部は、局員のみなさんが主役。和歌山放送がこのプロジェクトに取り組んだ意義、今後の展望について議論しました。
 僕なりにこの半年を振り返ると、決して事前準備が万端だったとは言えず、若手局員のみなさんの持ち前の明るさ、咄嗟の機転で、無事に乗り切ったという感が強いです(最初の全体会で抱いた印象ですが、その点は最後まで変わりませんでした・・・)。まず、良かったところを挙げておくと、

  1. 圧倒的に風通しがよく、楽しく協力的な協働体制でした。
  2. 活動を通じて、ラジオの未来、放送局の将来を市民と一緒に語る土壌を培うことができ、指導する側も学ぶ、一方的ではない「循環型」のメディアリテラシーの萌芽がみられたように思います。
  3. 多忙な若手局員をサポートしてくれた和歌山大学の学生さんたちも素晴らしく、来年度は主役として新しいプロジェクトに取り組んでもらいたいです。

 しかし課題も残りました。

  1. ウェブのシステムを導入したにも関わらず、ラジオ番組と連動することができず、クロスメディアの社会実験としては不徹底でした。高校生たちがラジオに興味を持ってもらうきっかけとして、ウェブを活用するという意味合いもありますが、それと同時に、ラジオとウェブを連動させることで、放送局として、ラジオに新しい価値を見出すことができないかということを試す機会でもあったのですが。
  2. メディアリテラシーの概念理解(言語化)の機会が希薄でした。(1)と関連しますが、高校生たちの日常に深く根づいているテレビのリテラシーと違い、番組制作による気付きを通じて、ラジオのことを体験的に学ぶということには限界があります。この課題を充分にクリアできなかったといえます。
  3. 若手局員のみなさんが忙しすぎ、和歌山放送の独自性を充分に発揮することができませんでした。高校生の日程調整もたびたび難航し、活動がなかなか前に進まなかったという面もありました。短期集中型のワークショップが、今後さしあたりは局の現状に合っているのではないかと思います。

 最後に告知です。和歌山放送では、2月14日(日)の正午から1時間、このプロジェクトの総括番組を放送するとのこと。和歌山県だけでなく、兵庫、大阪、奈良の一部、四国の一部でも聴くことができるようですので、お近くの方はぜひ。
文責:飯田 豊(福山大学)

この記事は民放連プロジェクトに投稿されました タグ: . このパーマリンクをブックマークする。 コメントは受け付けていませんが、次の URL へトラックバックを残せます: トラックバック URL.