2010/6/30 テレビ信州再訪記

 6月30日(水)、マス&コミュニケーション・プロジェクトの林田真心子さんと水越伸(僕)で、テレビ信州の倉田治夫さん(常務取締役・総務局長)、平坂雄二さん(常務取締役・報道制作局長)、湯田邦彦さん(長野市フルネットセンター・総合プロデューサー、テレビ信州報道制作局)ほかのみなさんにお会いしてきました。
SN3J0122.jpg
 テレビ信州は2001年度、02年度と、「民放連メディアリテラシー・プロジェクト」をパイオニア的に進めた長野県の民放局。90年代の松本サリン事件報道がかかえた一連の問題をふり返ることをきっかけに、局独自でメディアリテラシー活動を模索していました。2000年前後、民放連とメルプロジェクトが連携して何らかのメディアリテラシーの活動を展開しようとなった時、まずはすでに活動しているテレビ信州に声をかけ、協力を仰ぎ、パイロット研究と位置づけてスタートすることになったのでした。その際には長野県でメディアリテラシーを進めていた林直哉さんをはじめとする中学・高校の先生方に大変尽力していただきました。
 番組づくりからはじめてみること、送り手と受け手が協働すること。民放連プロジェクトのこの二つの特徴は、このテレビ信州の実践現場でたたき上げられたものだったといえます(同時並行した愛知・東海テレビ放送の成果も大きいものでした)。
 あれから8年。テレビ信州のみなさんとはシンポジウムや研究会で時々ごあいさつはするものの、本格的に協働する機会を持たないままになっていました。そこで夏らしい晴天のこの日、僕たちは長野市へ向かったわけです。テレビ信州は数年前から、長野市フルネットセンターという施設の指定管理者となっており、そのなかでパソコン研修、マルチメディア体験などと一緒に、番組制作体験を通したメディアリテラシーの活動を継続展開していました。
 長野市フルネットセンターは、ズバリ言って長野オリンピックにちなんだ箱物行政の産物。しかしテレビ信州はそこを人々がメディア体験をできる場所にうまく組み替えているなというのが、建物を訪れた僕の最初の印象でした。
 番組制作体験は、民放連が青少年という枠内でやっているのに対して、シニアの方まで幅広く対応をされているとのこと。
 さらに同センターにおいて長野市の一部委託を受けて、「愛TVながの」というインターネットテレビ局を開設。地元企業や行政、大学、観光などの地域情報とともに、市民のビデオ映像を流したり、メディアリテラシー実践の記録をアップしたりと、盛りだくさんな内容になっています。ゆるやかにテレビ信州の番組やネットともリンクしています。
 このように長野市フルネットセンターという施設を通じてテレビ信州の実践はしっかりと地域に根づき、展開しているというふうに感じました。公共施設を巻き込んでの恒常的な活動をおこなう民放連プロジェクト実践局は、今のところ見当たりません。
 そのうえで課題と今後のことでいくつか話し合いをしました。
(1)テレビ信州のメディアリテラシー活動がほぼすべて長野市フルネットセンターへ移行してしまっているが、局の方でもなにかをやっていくようにしていきたいということ。そこで最近は、局内見学や大学生らのインターンシップを導入しているとのこと。これはテレビ朝日との共同研究「ろっぽんプロジェクト」の活動とも重なるなと思いました。
 僕はこの他、長野市フルネットセンターのパソコン研修、ケータイ講座などはメディアリテラシーとすぐにでも結びつけられますし、局員研修として「送り手のメディアリテラシー」を採り入れ、若手に関心を持ってもらうとよいのではないかと考えました。
(2)愛知淑徳大学の小川明子さん、伊藤昌亮さんらがメディア・エクスプリモの一環として進めている「メディア・コンテ」のような、一種のデジタルストーリー・テリングを導入するというアイディアです!とくにシニアの方々と大学生が一緒に写真物語をつくるという「豊橋メディア・コンテ」的な活動は、テレビ信州ならかなり現実性が高い!
 ただ詳細は秘密です(笑)。
 今後小川さんらと話し合っていければと思っています。
 いずれにしても久しぶりの再会に最後は大盛り上がり。林田さんと僕は長野発の新幹線に飛び乗ったのでした。
 みなさん、大変お世話になりました。僕が民放連プロジェクトについて日頃思っている課題と発展の可能性について、きわめて的確にご理解いただくと同時に、アイディアもいただけ、うれしかったです。必ずまたうかがい、今度は現実的なかたちで協働させていただければと思っています。

(水越伸)
この記事は民放連プロジェクトに投稿されました タグ: , , , . このパーマリンクをブックマークする。 コメントは受け付けていませんが、次の URL へトラックバックを残せます: トラックバック URL.