2010/6/14 山口放送徳永氏、広経大「メディア・リテラシー」ゲスト講師に

 広島経済大学の土屋です。私が担当している授業「メディア・リテラシー」では6月14日、山口放送の徳永謙太郎さんにゲスト講師としてご登壇いただきました。山口放送は2007年度の民放連メディア・リテラシー実践プロジェクトの採択局で、徳永さんは実践のリーダーとして県内の中学生・高校生とのミニ番組の制作に取り組まれました。山口放送ではメディア・リテラシーを一回限りの試みとすることなく、2008年度には「親子でラジオディレクター」、2009年度には「高校生カメラマンチャレンジ」と活動を展開されています。
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 授業ではまず徳永さんが日常行っているディレクターや総合演出などの業務を説明いただいた上で、メディア・リテラシーにどう取り組まれたのか、ローカル放送局、また放送局員に活動がどのような意味をもたらしたのかをご報告いただきました。徳永さんは、いつもの「取材する/される」という立場とは異なった関係を地域の人々と結べることがよく、そこに地域放送局の可能性を見出せた、と話されました。
 この授業は「記者会見ワークショップ」を兼ねており、徳永さんの講義について学生に記事を書いてもらいましたので、ご紹介します。詳細はこちらをお読み下さい。

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新たな可能性を見つけるために――山口放送 徳永謙太郎さん
 広島経済大学経済学部メディアビジネス学科2年 田中詩織
 山口放送で総合演出という仕事をしている徳永謙太郎さんにお話しを伺った。山口県には民放テレビ局が3社ある。その中で山口放送でしか行っていない取り組みがある。それはメディアリテラシー活動である。日常業務のプラスアルファという形で休日返上で取り組んでいるのである。
100614tokunaga2.jpg 具体的にメディアリテラシーについての取り組みとはどのようなものなのか。この3年間での取り組みは、(1)県内中高生とのテレビ番組制作、(2)県内親子を対象としたラジオ番組制作、(3)県内高校生対象のカメラマン体験である。3つに共通することは、情報の受け手側である子どもたちが、送り手側を体験することで新しい発見ができるということである。企画・取材・編集などすべてを子どもたちに行わせる。大人にはない、子どもたちならではの感覚で制作は進むのだ。
 しかし、徳永さんはここで重要なことに気が付いた。「子どもたちの制作しているものは、私たちがよく見る、よく聴くテレビやラジオを真似たもの」になり易いということである。つまり、普段何気なく見ているメディアから受ける影響がとても大きいということを再認識できたのだ。
 放送に携わる者として「情報をどの立場に立って伝えるべきか」ということに一番気を配っているという徳永さん。言い方一つで180度伝わり方が変化する。人一人をどん底に落とすのは難しいことではない。そんなことをしてしまうためにこの仕事に就いたんじゃない。番組制作では常に細かく原稿をチェックし細心の注意を払っていく。
 メディアリテラシーへの取り組みは今後も継続していく。今は制作型から体験型に活動をシフトしていくことを考えているそうだ。アナウンサーや報道記者など、普段できないことを子どもたちに体験してもらうための土台づくりを行っているという。
 メディアリテラシーへの取り組みに参加することによって、テレビ局としての新たな可能性を発見した、と徳永さんは言う。これは地方局だからこそできる取り組みであり、地域の人と関わっていくことで、地域貢献にも繋がっていくのだ。これからも山口放送が、そして徳永さんがどのような活動をしていくのか、楽しみである。

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 ここでは一点のみご紹介しましたが、この課題では、書き方を細かく設定しておらず、約60人の受講生の数だけ様々な「記事」が出てきます。1時間以上の話のどこを切り取ってまとめたのか、タイトルはどうつけたのか、縦書きか横書きか、写真のサイズと配置はどうか、事実誤認はなかったか、主観的・客観的表現はどちらがよいか、など翌週の授業ではみんなでお互いの書いた記事を比べて気づいたことを議論しつつ「記事」について改めて考えていきます。
 放送局で、大学で、メディア・リテラシーの取り組みを繋げていく面白い授業にできればと思っています。徳永さんにいらしていただいたおかげで、教室での学びにリアリティを吹き込むことができました。ありがとうございました!
(土屋祐子/広島経済大学)

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