KDDI研究所との共同プロジェクトの修了報告

2010年度末をもちまして、KDDI研究所との共同プロジェクトが修了いたしました。東京大学大学院情報学環の水越伸・山内祐平・岡田猛研究室とKDDI研究所は、2008年度に共同研究体制を作り、3年間「テレコミュニケーションの文化とリテラシーに関する質的、デザイン論的実践に関する共同研究」を進めてきました。MoDeは、ケータイを用いた批判的メディア実践の可能性や意義を探る領域メンバーとして参加していました。
共同プロジェクトは、実践的かつデザイン論的研究方法を導入することによって新しいコミュニケーション文化の潜在可能性を明らかにすることを目的にしていました。市民参加型ワークショップやアイデア創発型ワークショップなど様々な実践的研究を通して、技術開発を中心に語られてきたケータイの新しいあり方を浮き彫りにしたことは大きな成果でしょう。とくに、今回の共同プロジェクトでは、学習環境デザイン(山内祐平研究室)、創造的認知(岡田猛研究室)など、異なる専門領域の研究者たちが共同で研究を進めました。学際的かつ多面的な分析を図ったことも意義深い試みだったと思われます。
本共同研究のなか、MoDeから提出された主な成果は下記の通りです。

【論文】
・ 金暻和 「パフォーマンス・エスノグラフィー手法を用いたケータイ研究の可能性:文化人類学の視座の示唆」、情報通信学会誌、2010年9月
・ 水越伸・金暻和 「ケータイのリテラシー・ケータイのエスノグラフィー:パフォーマンス型授業「モバイルの比較文化的メディア論」の事例研究」、東京大学大学院情報学環紀要、2010年3月
・ 岡田朋之「ワークショップ的方法を用いたメディアの可能的様態の検討」、関西大学総合情報学部紀要、2010年2月
【発表】
・ KIM, Kyoung-hwa Yonnie, “An “insider’s view” in media studies: Case analysis of performance ethnography in mobile media studies“, Contemporary Ethnography Across Disciplines, Nov. 2010.
・ 新井田統・金暻和 「ケータイの未来を探る:ワークショップを用いたケータイ研究の試み」、情報通信学会モバイルコミュニケーション研究会、2010年5月
・ 水越伸 「現代社会におけるメディアの影響- ケータイと子どもの関係を問う」、日本教育メディア学会基調演説、2009年9月
・「禁止された遊び」シンポジウム、MELL EXPO 2009年3月

MoDeは、これからも実践的かつ創造的アプローチを通して、メディアとしてのケータイの可能性を探っていきたいと思います。
(報告:金ヨニ)

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