6/26, 2008 つかう人がつくる場所:「三田の家」で「三田の家」を語る

080626_1904~0001.jpg6月26日(木)のビオトープサロンは、場所をこれまでの本郷から三田へ移し、「三田の家」で「三田の家」について語る会を開催。「三田の家」とは、慶應義塾大学が三田商店街振興組合の協力のもとに運営している、大学近傍の一軒屋。商店街の人々、大学の教員や学生たちが立ち寄るこの空間は、一体どのように運営され、どんな活動が営まれているのか?前々から噂に聞いていたこの「場」についての素朴な質問を、中心メンバーである坂倉杏介さん(「三田の家」木曜日担当マスター、慶應義塾大学DMC機構専任講師)に伺いました。
●マスター制による「オープン」
 「三田の家」は、マスター制による「オープン」形式をとっている。土曜日以外の週6日間、6名のマスターが自分たちのスケジュールに合わせて家の鍵を開ける。オープンしている間、各マスター(慶應大学の教員5名、学生1名)によって行われる活動はさまざま。社会学が専門のマスターがひらく一般公開型のゼミナール、国際交流が専門のマスターがひらく留学生との交流会、まちづくりが専門のマスターがひらく地酒の会などなどである。その他に、不定期でワークショップ、講演会、上映会なども行われているという。
 サロン当日の夜7時、私たちが到着すると、木曜日担当マスターの坂倉さんは、掃除機をかけている最中。「お邪魔します」と差し入れのお菓子とワインを持って玄関をあがる。廊下を進むと左手に広めの台所、つきあたりに大きな座卓が置かれた居間がある。居間の先にはガラス戸で仕切られた縁がわ。座卓を囲んで座布団に座り、サロンが始まった。
●「家」が見つかるまで3年
 三田の街に唯一残っていた古本屋が、今年初めになくなったという。ここ20年ほどで喫茶店も消え、大学と地域社会の関係性は薄らいでいくばかり。そうした「閉じられた」大学と地域社会との交流、そして同時に大学内のつながり(各学部、教師と学生、留学生と日本人学生など)の希薄化に対する問題意識から、「三田の家」の構想が始まった。
 2003年、坂倉さんが「自分と関係のある場所で始めたい」と、飛び込みで三田商店街振興組合理事を訪問。そこから商店街関係者を中心に、徐々に関係性が紡がれ始めて約3年、2006年に現在の物件がようやく確定した。それは、初めに出会った理事の営む洋品店の倉庫として長い間利用されていた一軒屋だった。
 まずは、大掃除。大学の教員や学生、そして知り合いの大工さんらの協力を得て壁を塗りなおし、天井に和紙を貼り、照明を付け替え、棚をつくり…約半年間かけて内装を整えた。「日常生活の空間なので、日々、物が増えていくんですよね」と、坂倉さん。いまでも少しずつ改装が進んでいるようだ。家賃は、月8万円。これを、マスターやスタッフ、そして商店街組合やその理事などが参加するメンバーシップ(年間1万円)で補っているという。
●今後の活動
「三田の家」を拠点とした活動が、慶應大学と三田商店街振興組合だけでなく、港区(芝地区を中心に)との協働を得てひろがっていく予定だという。近々、「三田の家」の近隣に同じような場をつくる計画もある。大学や区からの助成や協働事業の計画が決まっているが、その計画のうち約半分はこれまで行ってきた活動を継続させ、つなぎあわせていくもの。物件を探し始めてから5年半、大学や区が遅ればせながらようやく本気で動き始めたようだ。
 坂倉さんの姿勢は一貫している。大学と商店街という組織対組織として始めることも、「これで街が活性化されますよ」という都合のよい文句から始めることもしたくなかった、と話す。「三田の家」をめぐる活動は、個人と個人のつながりの重なり合いによってつくられている。
 今回のサロンでは、たびたび話の方向が”本郷”の私たち自身にひきつけられ、建設的に脱線。「本郷の家」は可能なのか?東京大学に、組織対組織としてではない物事の始め方ができるのか?でも都心部ではないから、三田よりは人の関係性をつくりやすい?本郷じゃなくて「根津の家」がよいのでは?などなど・・・。議論の終わらない私たちは、結局終電ぎりぎりの11時すぎまでお邪魔することになりました。歓迎して下さった坂倉さん、渡辺ベベさん、本当にありがとうございました。
“Mita House”, a house makes people to encounter
Biotope Salon on June 26, held at Mita (Minato-ku, near Keio University) having a speaking guest Mr. Sakakura, a main coordinator of “Mita House (Mita-no ie )” and an assistant professor of Keio University. “Mita House”, run by Keio University and a union of Mita shopping street, opens 6 days a week by “Masters” of Keio University professors and student staffs. There are many activities such open classes, cultural exchanges with foreign students, local Sake party, workshops and lectures. “Mita House” aims to make people, who are neighbors but never met, to encounter casually, be together and learn each other. Also, even people are less connected than before in the University such relationships of professors and students, foreign and Japanese students, and each department is also segmented. “Mita House” has been gradually making those disappearing communications alive in a new way within 5 and half years since started searching for a house to rent in 2003. We all would like to thank to Mr. Sakakura and Ms. Watanabe for wonderful discussion, space, and food & drink!
*Biotope Salon is semi-monthly get-together held by Mizukoshi lab, focused on academic-but-casual conversations with various topics about media, culture, and society!*

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