10/1 「media exprimo シンポジウム2011」のお知らせ

10/1(土)に開催する「メディア・エクスプリモシンポジウム2011」の概要が決まりましたので、お知らせいたします。メディア・エクスプリモにとって最後のシンポジウムとなります。ぜひご予定ください。
メディア・エクスプリモ シンポジウム2011
「情報があふれかえる社会」から「表現が編みあがる社会」へ

■日 時 :2011年10月1日(土)13時〜17時半(その後、交流会あり)
■会 場 :多摩美術大学 八王子キャンパス レクチャーホールC→アクセス
       ※京王相模原線・JR横浜線[橋本駅]からバスで10分
         JR中央線[八王子駅]からバスで15分
■参加費 :無料(交流会有料)
■事前登録:不要
■共催  :メディア・エクスプリモ
       多摩美術大学 情報デザイン学科
マスメディアの時代だった20世紀が終わり、ネットやケータイが普及して、21世紀はみんなが情報発信できる時代だといわれています。でも、私たちのくらしは本当に充実しているのでしょうか。
情報はあふれかえっているけれど、それらは地域や学校、職場などのコミュニティを育んでいくために活用されているのでしょうか。新しいメディアは人々のきずなを深めるために役立っているのでしょうか。情報技術が私たちのくらしを本当に豊かにするためには市民的な観点からデザインをほどこしていく必要があります。
メディア・エクスプリモは、人々のメディア表現、芸術活動を、より自律的で、持続的なものにしていくために、市民参加型の技術システムと文化プログラムのデザインに取り組んできた研究プロジェクトです。「情報があふれかえる社会」から「表現が編みあがる社会」へ。文系、理系、そしてデザイン系の研究者が越境的に協働し、2006年以来、専門家ではない一般の人々のための表現メディアづくりを進めてきました。
このシンポジウムでは、そんなメディア・エクスプリモが5年半にわたって積み重ねてきた成果を、みなさんとともにふり返り、その意義や課題をめぐって議論を深めていきたいと思います。どうかお誘い合わせの上、ご参加ください。
※メディア・エクスプリモは、独立法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(CREST)の一環として進められています。
■プログラム
【13時00分】開場
【13時30分〜15時00分】
○基調報告
須永剛司(多摩美術大学)
西村拓一(産業技術総合研究所)
堀浩一(東京大学)
水越伸(東京大学)
休憩(約15分)
【15時15分〜16時15分】
○ポスターセッション
休憩(約15分)
【16時30分〜17時30分】
○ディスカッション、クロージング
【17時30分〜19時30分】
交流会(有料)
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※事前に申し込みは必要ありません。
※お問い合わせ先
多摩美術大学CREST研究室【info-tamabi_crest[at]mediaexprimo.jp】
([at]の部分を@に直してお送りください)
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7/24 A-I-U-E-O Gabun Symposium Report

※日本語のレポートも下にあります。
July 24th, A-I-U-E-O Gabun project’s final symposium (Award Ceremony and Talk) was held at Bunkyo Civic Center.

Kiyoko Toriumi, a member of “media exprimo” and a chief coordinator of this project, first present an outline of this project. Secondly, there was a mini-talk session by 4 presenters from Bunkyo-ward office, Tokyo Cable Network Inc., and University of Tokyo to comment this project from different roles.
Then, there was an Award Ceremony of “A-I-U-E-O Gabun”, the highlight of the day. 8 prized gabun works will be reported soon at the official website.
At the last of symposium, there was a presentation by Shin Mizukoshi and Jun Abe, members of “media exprimo”. Abe first talked on activities related to “memory archive” she has been seeing and participating at devastated area of Tohoku, then Mizukoshi finalized this symposium with challenges and possibilities of this project.
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7/24(日)、文京シビックセンターにて「あいうえお画文」の授賞式&トークが行われました。

第一部では、まず東京大学大学院情報学環特任研究員でメディア・エクスプリモのメンバである鳥海希世子さんが、「あいうえお画文」プロジェクトの概要および経過について報告を行いました。続くミニ・トークでは、プロジェクトにたずさわってきた文京区、東京ケーブルネットワーク、東京大学、そして講座参加者の関係者4名が登壇し、プロジェクトに参加して感じたことなどをそれぞれの立場から話しました。
そして、その後いよいよ授賞式が開催されました。
これまでの投稿された「あいうえお画文」のなかから審査によって選ばれた各賞(大賞、優秀賞、ウェブ賞、写真がいいで賞)が発表されました。審査委員長をつとめた黒木美芳さん(かぶこう会代表、文京区生涯学習司、文京区サークル連絡会)および審査委員をつとめた藤田幸久さん(TCN株式会社取締役、常務執行役員)が、受賞者に賞状および賞品を手渡しました。
大賞に選ばれたぐらんまさん(毛塚由美子さん)は、「講座に参加して初めて「あいうえお画文」を作ってみました。様々な世代の方々と出会えてとても楽しかったです。地域のコミュニティーの結束力が強められるとても良い試みだと思います」と喜びのコメントをされていました。各賞の一覧は、http://gabun.jpをご覧ください。
第二部では、阿部純さん(東京大学大学院学際情報学府博士課程、メディア・エクスプリモ)が、仙台で始まりつつある、記憶をつむぎ、アーカイブしていく被災地でのいくつかの活動を紹介のうえで、今回の「あいうえお画文」の意義をふりかえりました。そして最後に、このプロジェクトの総括を行ってきた水越伸さん(東京大学大学院情報学環教授、メディア・エクスプリモ水越グループ代表)が「あいうえお画文」、そして広く地域のさまざまな主体が関わり、連携しあうような実践的なプロジェクトの可能性と課題、そして今後の展望について発表しました。
今回のセッションには、受賞者やプロジェクトの関係者を含め、50人以上の方々が参加しました。会場には、70作品以上の「あいうえお画文」が展示されており、文京シビックセンターを訪れた人たちが作品を見て回る姿も目立ちました。文京シビックセンターの区民ひろばでの画文展示会は、26(火)まで行われました。

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10/1 media exprimo symposium 2011

メディア・エクスプリモ最終年度のシンポジウムが、10月1日(土)に開催されます。もうしばらく先ですので、プログラムが決まりしだい報告します。まずは、日時と場所の第一報です。
We are going to hold a very last wrap-up symposium of “media exprimo” at Tama Art University in October 1st. This will be the final symposium of our 5 and half years long collaborative project. More information will be here later. This is just a first notice.
media exprimo symposium 2011
日時:2011年10月1日(土)13:30〜17:30
場所:多摩美術大学八王子キャンパス
    レクチャーホールC、情報デザイン棟
Date:13:30〜17:30, October 1st, 2011
Place:Tama Art University Hachioji Campus,
Information Design Building, Lecture Hall C

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7/24 A-I-U-E-O Gabun Symposium@Bunkyo Civic Center

“A-I-U-E-O Gabun” project has finished all the workshops, and is going to hold a wrap-up symposium at July 24th in a place of B2 floor, Bukyo Civic Center.
There will be an award ceremony for people’s gabuns, then a presentation about the concept and process of this project. RSVP not required. Please join us!
“A-I-U-E-O Gabun ~weave the memories of community~” Symposium
Award Ceremony and Talk

Date:
July 24th (Sun), 2011 (13:30 – 16:00)
Venue: Bunkyo Civic Center B2F Civic Plaza
Webpage: http://gabun.jp
MC: Megumi Tabata (TCN)
Speaker: Shin Mizukoshi, Jun Abe, Kiyoko Toriumi, etc.
Organizers:
Media Exprimo
University of Tokyo and Bunkyo Ward Collaboration Project
Supporters:
MELL Platz
Tokyo Cable Network
Admission: Free
Language: Japanese
RSVP: Open to all / RSVP not required

「あいうえお画文」授賞式&トーク
〜写真で投稿!まちの思い出つむぎプロジェクト〜

メディア・エクスプリモ水越グループでは、東京大学、文京区、東京ケーブルネットワーク(TCN)と連携し、5月より「あいうえお画文〜写真で投稿!まちの思い出つむぎプロジェクト」を進めてきました。アルバムやデジカメ、携帯電話のなかにある写真を持ち寄って、あいうえお作文に写真をつけた「あいうえお画文」をつくりながら、みんなで地域の思い出を表現したり、共有することを目指す試みです。
「あいうえお画文」プロジェクトは、複数回行われた画文づくりの講座を中心に、毎週金曜日にTCNにて放送されているコミュニティチャンネルの番組、ウェブサイト、紙の写真をそのまま郵送で投稿できる封筒型のチラシなど、いくつかのメディアを活用した実験的な実践活動でもあります。詳しくは、ウェブサイトをご覧ください。
今回の「授賞式&トーク」では、まず、投稿された「あいうえお画文」のなかから審査によって選ばれた各賞を発表します。次に、大学、自治体、地域メディアなどさまざまな主体が協働する本プロジェクトの全体像や運営者の目論見、そしてこれまでの課題や今後の展望についてお話ししたいと思います。
事前申し込み不要、参加費無料です。ぜひご参加ください!
■日時:2011年7月24日(日)13時30分〜16時00分
■会場:文京シビックセンター 地下2階区民ひろば アクセス
※後楽園駅(丸の内線・南北線)、春日駅(三田線・大江戸線)徒歩1分
(24〜26日のあいだ、同場所にて「あいうえお画文」作品の展示も行います)
■司会:
田畑めぐみ(TCNキャスター)
■登壇者:
水越伸・阿部純・鳥海希世子(東京大学大学院情報学環)ほか
■主催:文京区・東京大学連携事業「文の京・大いなる学び」
    東京大学大学院情報学環水越伸研究室
    メディア・エクスプリモ(JST、CREST)
■共催:メル・プラッツ
    東京ケーブルネットワーク株式会社
■参加費:無料
■事前登録:不要
■ウェブサイト:http://gabun.jp (「あいうえお画文」、7/7まで投稿受付中!)

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Send us your “gabun”! :TV program and official website opened

Cable TV program and official website of the “A-I-U-E-O Gabun ~weave the memories of community~” project have started (gabun is a short storytelling of photos and sentences).
The TV program is on air every Friday in the area of Tokyo Cable Network; Bunkyo, Arakawa, and Chiyoda-ward, you can also watch it on youtube one week later. The website is an archive of gabun, and also is where you can send your own works! Please check gabun.jp!
「あいうえお画文〜写真で投稿!まちの思い出つむぎプロジェクト」の番組とウェブサイトが本格始動しました。
番組は、毎週金曜日に東京ケーブルネットワークの放送エリアである文京区、荒川区、千代田区で放送中です。youtubeでも約一週間後にご覧いただけますよ。ウェブサイトからは、画文の投稿・コメントなどができます。gabun.jp、ぜひみてみてくださいね。
Reporting scene by Tokyo Cable Network.
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Website top page.
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“A-I-U-E-O Gabun 2011” starts on May 13th.

Tomorrow, we are starting a new project titled “A-I-U-E-O Gabun ~weave the memories of community~” collaborating with the Bunkyo-ward office (Bunkyo-ward is where the University of Tokyo is located) and Tokyo Cable Network Inc., one of the leading cable television companies in Japan.
“A-I-U-E-O Gabun (ga means picture and bun means sentence)” is a photo-and wordplay activity which we have been developing since 2007, as one of the storytelling projects of “media exprimo”. Slides from “ICA conference 2010“.
The official website and CableTV program is starting tomorrow, so please wait a little bit for our reports of this new project. But you can check a flyer here  (only Japanese, sorry!).
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メディア・コンテ ウィルあいち終了

今回のウィルあいちはあいち男女共同参画財団とエクスプリモとの共催で、愛知淑徳大学の新しい「アトリエ」で行なわれました。3日間のワークショップということで、参加者は少なかったのですが、その分、じっくりと作品制作に取り組むことができたと思います。
1日目
1日目は最初にデジタル・ストーリーテリングの世界的な動向を説明し、メディア・コンテの狙いを説明した後、「写真組み合わせストーリー」をやりました。子ども向けに開発したワークショップでしたが、とても盛り上がり、写真で表現すること、写真から読み取ることについて考えました。
次に、「ナレーションの表と裏」というセミナーっぽいワークショップを行いました。私の不手際でうまく進められませんでしたが、コンセプトとしては、ナレーションのこつと、ナレーションを崩して自分の本音を出したり、自分らしさを追求したりということを両方やりながら、物語を作る=ナレーション原稿を書くのだということになれてもらうということがありました。「裏」のナレーションは、方言を使ったものや、語りかけるものなど、とてもユニークでした。
午後は、このワークショップの中心とも言える「お題ぺたぺた」。3人組になって、1人あたり20分ずつ5つのお題にそって語ってもらい、そこからゆるくテーマを見つけ出していくということを2セッションやりました。終わる頃にはそれなりのテーマがみつかり、それについて軽くみんなでコメントをして、溝尻さんに写真撮影のこつをレクチャーしてもらって終わりました。
ちなみに今回のお題は男女共同参画財団ということもあり、ジェンダーっぽいことが出てくるようなテーマがいいかな、と、
・やっかいなこと
・ちょっと気になるあの光景
・私のへそくり(隠していること)
・これ、むかつく!
・私の発明、わが家の発明
というようなことでやりました。
2日目
午前中、とってきた写真を印刷し、それを切り取ってメンディングテープで5つの紙に分けて貼り、物語の構成を考えていきました。今回はほとんどみなさん、芸術的に構成を考えてこられて、今回は私たちが大きく動かさなくてもいい状態でした!学生や参加者たち、それに広島から参戦してくださった土屋さんからもものすごく有益なアドバイスがどんどん出て、相当いい感じで物語の枠が出来上がりました。ただ、この「5枚紙芝居」は盛り上がりすぎて、予定の時間を都合1時間半もオーバーしてしまいました。が、それだけさまざまなアイディアが出たということ、じっくり物語についてみんなで考えられたことはよかったです。
3日目
ナレーションの録音をしつつ、編集に入りました。
それぞれとても「自分らしい」ナレーションと、渾身の写真で、素敵なストーリーが語られてゆきました。ウィンドウズ・ムービーメーカーの調子もあり、少し戸惑った方もありましたが、ほとんど問題なく時間通りに終了。できたばかりのミニシアターで飛び入りのお客さんも呼んで上映会でした。
できあがったのは、夫婦の関係をさまざまなペアのあれこれに託したストーリーや影に惹かれてしまうわけを魅力的な写真で綴ったストーリー、「弱者」とは何かをさまざまなシーンから考える作品、「家」から自分と家族の歴史を感じさせる作品、そして新興住宅地の祭りの良さを獅子頭が語るストーリー、それに「40年ぶりのラブレター」なるストーリーまで登場し、参加したスタッフいわく、「人の思うこと、感じること、考えることって、ここまで豊かで自由でどこまでも広がりがあるんだ」と感じさせられるワークショップでした。
あいち男女共同参画財団のみなさま、参加者のみなさま、ありがとうございました。ぜひみなさんの今後の活動に生かしていってくださいね!willaichi.png

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9/4-5 メディフェス・ネビュラのからくりと意義

ネビュラのからくりと意義:どうやってできていて何をめざしているのか

 メディフェス・ネビュラに参加登録いただき、どうもありがとうございます。
 約40のグサッときたりグッときたりする質問に答えていただくと、「越前屋」「アリさん」などといったあなたのキャラクターが表示されましたよね。それから関係図のなかに、まるで天球儀のなかの星のようにしてあなたの活動が表示されましたよね。
 ネビュラをどのようなからくりでやっているのか、そしてその意義はなにか。そのあたりを概略説明しておきます。0001SL.jpg
1.からくり
(1)約40の質問は、武蔵野・三鷹メディフェス実行委員会のみなさまとメディア・エクスプリモメル・プラッツのメンバーが協力してこしらえました。
 中心的にがんばったのは水島久光さん、見城武秀さん。
(2)「自信がある←→悩み深い」「恵まれている←→恵まれていない」「かっちり←→ゆるゆる」「このまま進もう←→チェンジ!」という4つの軸は、市民メディア、ワークショップ、メディアリテラシーなどの実践経験豊富な関係者が、質問項目を考えるなかで経験則に基づいて話し合って決めました。なにか統計科学的に出てきたものではない、つまりデジタル・コンピュータじゃなくてアナログ・カンピュータで見出しました。
(3)それぞれの質問と4軸の関係をあらかじめ表のように決めました。
 たとえば質問5「ぶっちゃけおかねがほしい」の場合。00017Q.jpg
 「自信がある(+)←→悩み深い(−)」軸でいえば、「ぶっちゃけおかねがほしい」と思う人は「悩み深い」と位置づけています。つまりこの軸では「−」の側だと。
 「恵まれている←→恵まれていない」の軸でいえば、「ぶっちゃけおかねがほしい」と思う人は「恵まれていない」の側、つまり「−」の側。
 「かっちり←→ゆるゆる」軸でいえば、「ぶっちゃけおかねがほしい」と思う人は「カッチリ」しているだろうということで「+」の側。
 「このまま進もう←→チェンジ!」軸でいえば、「ぶっちゃけおかねがほしい」と思う人は今の状態に満足していないはずなので「チェンジ!」の側、つまり「+」の側。
 
(4)以上のような位置づけを関係者みんなで話し合ってきめ、すべての質問について4軸それぞれでの位置づけ(関係性)をあらかじめ決めておきました。
 ちなみに表で空欄の部分は、その軸では位置づけられない場合です。たとえば質問9「飲み会の方が盛り上がる」は「自信がある←→悩み深い」のどちらともいえない、いいかえるとこの軸では計れないので、空欄にしてあります。
(5)さて、このような関係性が設定された約40の質問に「はい」「いいえ」「どちらでもない」のいずれかに答えてもらう。そうすることでその人(の活動)は4軸の交差する中である一定の位置を取ることになります。いわば天球儀のなかの星のように場所が定まるわけです。
 星のおたがいの位置関係は数値化された情報をかなり正確に反映しています。ただしあとで説明するとおり、どういう軸をどこに引くか(星がどの象限にあるか)はかなり恣意的に設定されています。
2.その意義
(1)市民参加型の技術システム
 ネビュラの中核には、いわゆる知識支援システム、創造支援システムと呼ばれるものがあり、これは工学系研究者が作っています。これはプロの領域です。
 しかしネビュラはそれだけで成り立っていません。参加者の情報を入力してもらう部分、情報をどのように位置づけるか、価値づけるかという部分については、これを活用しようとする一般の人々がつくっていくべき領域です。
 たとえばある地域で問題となっていることがらをめぐってアンケートをやり、その結果を重層的に可視化し、住民みんなで意見の拡がりを見ながら議論を深めてみる。地域の問題というのはたいてい歴史や政治やいろんなことが複雑に入り組んでおり、そんなに白黒はっきりさせることができない場合が多いですよね。それなのにたとえばテレビの短いニュースでは白黒、つまり賛成反対に分かれて戦っているように描かれてしまったり、住民が自分たちでもそのように単純化して考えてしまったりする。そんなときに、複雑なものを複雑なままに、重層的に可視化し、みんなでそれを眺めながら考えてみるための道具に、ネビュラはなるでしょう。
 あるいは入学まもない学校の子どもたちがたがいに仲良くなるための道具としてつかってみる。たとえば5つのユーモラスな質問に答えると自分がネビュラに位置づけられ、それらをネタにしながらみんなで仲良くなってもらう。いわゆるアイスブレイクの道具にしてもらうこともできるでしょう。同じことは会社の入社式、シンポジウムやキャンプで参加者が打ち解けるためにはもってこいだと思います。
 いずれにしてもネビュラは、プロの技術者がつくり、素人は手が出せないブラックボックスではなく、入力的な部分を市民参加型でつくり、それぞれのやり方で活用できるホワイトボックス(?)です。基本キットをそれぞれのしかたで改造、応用できるともいえる。市民参加型の技術システムであり、それを活用するための文化プログラムは自分たちがつくっていける。そこに特色があります。
(2)文化のプログラムもホワイトボックス
 どういう質問をするか、どんな軸に位置づけるか。
 くり返しいえばそれらは統計科学や社会心理の専門家が決めるのではなく、ネビュラを活用しようとする団体や組織、共同体のメンバーみんなで考えることができます。もちろん専門家やいろんな人の意見を聞きながら進めてもよいですが。
 質問と軸は、そういう意味では主観的な産物です。しかしそれらは、誰かわからない人が勝手に決めて押しつけられるといったものではなく、自分たちで納得しながらつくることができす。しかも主観的ではあるけれど、それをみんなで話し合ってチェックし、なるべく公平なものにしていく、つまり主観的客観性を持ったものです。
 これは技術のブラックボックスと同様に、企業やマスメディアのマーケティングに知らず知らずのうちに載せられ、利用されてしまうような文化プログラムのブラックボックスに対抗していくためのひとつの戦術であり、見えないメディア資本に利用されないためのメディア・リテラシーをひとつの活動だということもできると思います。
(3)ネビュラの今後
 ネビュラはまだ、夢想の途中にある仕組みです。今はまだ、個別に参加者が入力をして、おおぜいで天球儀をみるようなことしかできません。しかしそれはネビュラのひとつのあらわれに過ぎないと考えています。別のバージョンがあり得る。SN3J0110.jpg
 たとえば個別のグループやワークショップにとってもっと具体的に役立つ道具や材料、ノウハウなどを、スイスアーミーナイフとか道具箱みたいなものとしてパッケージ化して役立てられないか。
 あるいは個人がそれを使って歴史的な系譜をたどったり、なにかを深く調べたりするためのアーカイブ(ただしとても柔軟で動的なアーカイブ)として使えないか。
 ゲッターロボが3パターンに変形できるみたいな(わかる人にしかわからないでしょうが・・・)。「ぬえ」のようなものだともいえます。
 これから僕たちは、今あるネビュラとはちがうネビュラを夢想し、デザインし、実践していこうと考えています。

(水越伸)

 

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9/4-5 メディフェスでネビュラ!参加登録を

 まだまだ暑い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしですか。
 さてさて、9月4日(土)5日(日)に東京吉祥寺の成蹊大学で開催される武蔵野・三鷹メディフェス2010に「ネビュラ」が登場です!
 名づけて「メディフェス・ネビュラ」
 むさしのみたか市民テレビ局のみなさんをはじめとする同実行委員会のご理解とご協力を得て、メディア・エクスプリモがメル・プラッツとともに実践します。0001hb.jpeg
 「メディフェス・ネビュラ」は、「ネビュラ(星雲)」のように拡がるさまざまな市民メディアの営みが、たがいにどのように関わりあっているかを、まるで天球儀のようにしてビジュアルに示すしかけです。しかもいろいろな角度から眺めることができ、新しい仲間を見つけ出すことができるかもしれない「出会い系」でもあります。
 まずはここをクリックしてください!
 「メディフェス・ネビュラ」のウェブサイトに入ることができます。
 市民メディアを実践していたり、関心を持っている人であれば誰もがグッと来る質問がならんでいます。それに答えてもらうと、あなたもネビュラにすぐに参加できます。
 メディア・エクスプリモとメル・プラッツは、9月4日〜5日と現地でも出展し、いろいろなお楽しみイベントを用意しています。
 今年のメディフェスも話題満載のようです。ぜひお誘い合わせのうえ、成蹊大学へお越し下さい。
 お待ちしています。
追伸:「ネビュラ」はMELL EXPO2010でデビュー。「エクスポ・ネビュラ」についてのメル・プラッツ公開研究会の記録はこちらから。
 

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8/9-10 ラジクエ!ワークショップ in 京都三条を開催しました

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2010年8月9日〜10日、京都三条をフィールドに「ラジクエ(ラジオ・コミュニティ・クエスト)!ワークショップ」を開催しました。取り組んだのは愛知淑徳大学・小川ゼミ19名と広島経済大学・土屋ゼミの11名。30名の学生達は地図とICレコーダーを手に京都三条界隈を探索(クエスト)しながら、お店や街の人々に彼らの「こだわり」を聞いて、「ラジクエ!ワークショップ 古都の究極のこだわりを探せ」というラジオ番組を制作しました。2日目には実際にコミュニティFM放送局の京都三条ラジオカフェで番組収録を行いました。
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「ラジクエ(ラジオ・コミュニティ・クエスト)」はメディア・エクスプリモメンバーの小川と土屋でデザインした、「ドラクエ」の様なクエスト・ゲームの要素を取り入れたラジオ制作のワークショップです。実践を通じて、ラジオを介したメディア・コミュニケーションや地域表象のあり方を考えることを目的としています。
「ラジクエカード」を引いて最初に行くお店を決めたり、自分達の「こだわりポイント」を重ねてツールのICレコーダーを選んだり、携帯の投票システムで「究極のこだわり」を決定したり、ゲーム的参加の面白さ、遊びの楽しさを盛り込んだプログラムとしました。学生たちは時に取材を断られる、いぶかしげな顔をされる、パソコンの編集に戸惑う、肝心の収録時にうまく音声が出ないなどの「ダメージ」を受けながらも無事「究極のこだわり」を探し出して伝えるというミッションを完遂することができました!
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愛知淑徳大学・小川ゼミと広島経済大学・土屋ゼミは半年間に渡って、交流型のメディア制作実践「ローカルの不思議」のラジオ編に取り組んで来ました。ローカルの不思議は7年間に渡って続けられてきた教育研究プロジェクトで、異なる地域の大学がパートナーとなり、お互いのステレオタイプイメージを明示化、交換し、他者の眼差しを認識した後に、マスメディアでは伝えられない自分達の地域についての映像クイズの制作に取り組みます。今年度の前期にパートナーを組んだ小川ゼミと土屋ゼミはいつもの映像ではなくラジオ放送を想定した音のクイズ制作に挑戦してきたという経緯がありました。
今回のラジクエ!ワークショップは、こうした地域をめぐる他者/自己表象の学びをふまえ、「直接的な他者との出会いと彼らへの問いかけ」や「他者との協働制作」、「コミュニティFMでの放送」を実現することで、メディア作りを介した他者への共感・尊重、自分達の住んでいる地域のよりリアルな相対化、コミュニティラジオの持つ身体的・人間的なメディア・コミュニケーションの可能性を探るものとなりました。
学生のみんなは初めて顔を合わせる他地域の大学生と、初めての土地をフィールドに、わずか2日間で取材、編集、番組制作をこなすという決して楽ではないワークショップを、面白がって一生懸命に取り組み、無事やり遂げてくれました。実践の中には、選んだこだわりが京都ではなく大阪文化を反映したものだったり、テレビ番組の模倣的な表現から抜け出せなかったり、地域文化への誤解やメディア表現への想像力の弱さなどの課題も見受けられましたが、それは同時に今後の必要な学びの発見となったと思います。交流型コミュニティラジオのワークショップの面白さと可能性を確認する2日間になりました。
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<プログラム概要>
▼1日目 2010年8月9日(月)13時30分〜17時@誓願寺
2大学の交流、京都三条界隈をフィールドとするラジオ番組制作ワークショップ「ラジクエ(ラジオ・コミュニティ・クエスト)」
ラジクエワッペンでチーム分け!
Workshop1  これって、俺だけ? 私だけ? –私のこだわり
ラジクエ!では「こだわり」をテーマにしています。そこで、まず「これって、私だけ?」と思うようなこだわりを投稿してもらいます。あなたのメディアに対するユニークなこだわりをラジオネームとともにメールで送ってください。
(最後は「これって、俺だけ?/私だけ?」で締めてください。)
1) ラジオネームはこの間と一緒でも違ってもかまいません。
2) ユニークなこだわりには「ツチヤ賞」「オガワ賞」などが与えられ、その賞をゲットしたグループから、録音ツールを選ぶことができます。
Workshop2  古都のこだわり
チームのメンバーが揃い、録音ツールとホワイトボードを手にしたら、ラジクエカードをひき、最初に行く場所を探して電話で取材の許可を取ります。そこからは「わらしべ長者」的に聞いていってもいいし、道中でみつけた面白いお店に入ってもかまいません。ホワイトボードの「うちのこだわり○○○○・・・お気づきでした?」にそって話をしてもらいます。最低3カ所をめぐり、最高にユニークなこだわりを探し、コメントをキャプチャーしてきてください!帰ってきたら一番ユニークなコメントを30秒程度に編集します。
▼2日目 2010年8月10日(火)10時〜11時30分@京都三条ラジオカフェ
番組収録「ラジクエ!古都の究極のこだわりを探せ!」
00’00″ オープニング・トーク ラジオ制作と「地域のこだわり」
    ・地域のこだわりについて考えてみる30分
    ・自己紹介,番組の企画意図
05’00″ 地域のこだわりー広島の「不思議」,名古屋の「不思議」
10’00″ 古都のこだわり
    ・京都での「ラジオ・コミュニティ・クエスト(ラジクエ)」
    (※ワークショップ自体は前日9日に実施、取材素材はCDで準備)
    ・京都三条界隈のお店、人びとから,究極の「こだわり」を探せ!
     –広島や名古屋にはないお店(数珠屋/麩屋)などから,普段の生
      活では思いもつかないようなこだわりをインタビュー
     –各グループの「こだわり」を(2分程度×5組)発表し,投票        
     –究極のこだわりを発表!
27’00″ エンディング・トーク
29’00″ 終了
(土屋祐子/広島経済大学、小川明子/愛知淑徳大学)

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