08/7/5 チューリップテレビで初顔合わせ!

 7月5日(土)、チューリップテレビ(富山市)で、民放連メディアリテラシー・プロジェクトの最初の顔合わせの会合がありました。080705_1855~0001.jpg
 最初の顔合わせというのは、チューリップテレビの局員のみなさん(この日は服部さん、荒木さん、そして島田さんの三人)、砺波高校福野高校(南砺総合高校福野高等学校)の生徒さんたち(この日の参加者は合計で10名)の初顔合わせのことであり、さらにはプロの放送人と高校生の結びつきをサポートするための関係者、すなわち両校の引率の先生方、富山大学の黒田卓さん、黒田研究室に関連した大学院生、大学生のみなさん、富山インターネット市民塾住民ディレクターのみなさんも一堂に集まったわけでした。080705_1409~0001.jpg
 氏素性(?)のちがう老若男女(??)が集まる、いわば「異文化コミュニケーション」の最初の場であり、ここでうまい雰囲気が作れるかどうかが、プロジェクトの成否にかかっているともいえました。
 午後1時過ぎから5時過ぎまでの約4時間、二つのミニワークショップをふくんだこの会合は、おおむね大変うまくいきました。まずは関係者のみなさん、本当にお疲れさまでした。とくに前日夜、名古屋からたどり着いたという服部さん、夜中まで準備をされていた荒木さん(途中で寝た)、島田さん(ほとんど寝てない)、大変ご苦労さまでした。080705_1214~0001.jpgのサムネール画像
 当日、「マス&コミュニケーション」プロジェクトからは駒谷真美さん(昭和女子大学)と僕(水越伸・東京大学)が参加をし、駒谷さんは持ち前の関西ノリ炸裂で元気に事前のアンケート調査と、生徒さんたちへの個別のインタビュー調査を進め、僕は前置きの話や、チューリップの方々へのサポート全般をさせていただきました。僕は、民放連プロジェクトの概要を話、これは放送局員と高校生の「対話と対決」のための貴重な機会だといういい、おもしろくもひたむきにやって下さいと、ちょっと偉そうなことをいいました。
 駒谷さんによれば、生徒さんたちの意図や考えがとても多様でおもしろかったということですし、僕もいろいろな意味で刺激を受けました。高校生のみんな、どうもありがとう!
 詳細なレポートをやる余力がないですが、二つのミニワークショップ(以下、WS)を概説しておきます。
■WS1「名札用ベストショットを取り合う」
 初顔合わせのアイスブレークとして、このプロジェクト用に首からさげる名札用の自分の写真を、たがいに取りあいました。場所は1階ロビーにあるチューリップのキャラクターのあたり。高校生だけではなく、関係者全員が、自分の好きなポーズでキャラクターとからんだりして、ベストショットを取り合うのです。そしてその写真をプロジェクターで見せ合い、自己紹介をしました。080705_1411~0001.jpg080705_1454~0001.jpg
 最初は固まっていたり、わけがわからないでいたみんなも、おもしろい写真が撮れるごとに打ち解けていき、いい雰囲気をつくることができました。僕はといえば、いの一番に、ヘンな写真を撮った(とらされた)です。その写真データはチューリップに所蔵されています(・・・)。
■WS2「イメージ通りのチューリップ」「イメージとちがうチューリップ」の画文づくり
 局内見学をやるときに、ただ見て回るだけではなく、一渡り見学したあとに、高校生や関係者が「イメージ通りのチューリップテレビ」の写真+キャプション(僕たちは「画文」と呼んでますが)と、「イメージとちがうチューリップテレビ」の画文を、ケータイで一つずつ作り、PCメールに送り、それをみんなで大きなプロジェクター上で見合って、話し合うということをしました。
 「イメージ通り」「イメージとちがう」の組み合わせと、それをもとに話し合うというワークショップの仕組みは、僕たちのなかまである小川明子さん(愛知淑徳大学)が「東京パッチワーク」というワークショップで生み出したモチーフです。今回はそれを借用したわけです。
 おもしろかったのは、「イメージ通りのチューリップ」は、副調整室の機材など、ある程度パターン化していたということ。同時に「イメージとちがったチューリップ」は、人によってずいぶんちがっていたということです。たとえばぐちゃぐちゃのデスクスペースだとか、楽屋裏の汚さだとか。
 いずれにしてもテレビ局に一度も来たことがない人々がなぜ「イメージ通り」「イメージとちがう」という判断ができるかといえば、それはテレビをはじめとするメディアの影響です。そのことをみんなが理解するいい機会になりました。
080705_1409~0003.jpg
 一日みなさんと一緒に過ごしてみて、僕なりに印象に残ったことや大切なことを下記に箇条書きしておきたいと思います。
(1)異文化コミュニケーションができる放送人と高校生
 まずはチューリップテレビのみなさんが、それなりに緊張はされていたけれど、高校生や市民と結びついてこのような実践をすることに慣れていらっしゃることに驚きました。ふつうの放送局ではないことだからです。と同時に、メディア・リテラシーとはなにかについても、実践的に理解をされていた。そうしたうえで、とてもうまくプログラムをデザインされ、諸々について細かい準備がされており、よかったと思います。
 また、服部、荒木、島田というトリオが、年齢、性別、職種、キャラなど、いろんな意味でバランスが取れていて素晴らしかったと思います。この実践に関わるチューリップのメンバーは、他に3〜4名いらっしゃいますが、いい雰囲気だと思いました。
 一方で、高校生のみんなもいい雰囲気でした。なかには何が何だかわからずに連れてこられた的な人もいたけれど、写真を撮ったり、喋ったり、笑ったり、身体を動かしで、どんどんなじんできていたし、なによりもあれだけいろんな人がいるところでしっかり話ができる人ばかりでした。多くの人が、こんなに大がかりな活動だとは思わなかったといっていたけれど、そういうことはあまり気にせず、おもしろく、ひたむきにやってほしいと思います。勉強や部活の合間で大変だろうけれど、必ずやみんなのためになりますからね。
080705_1337~0001.jpg
(2)バックヤードにいてくれた大人たち
 この日は高校生のみなさん以上の数の大人が集まりました。参加者よりファシリテーターの人数が多いワークショップというのは、笑い話ではなく、しばしばありますが、あまりよい雰囲気のものではありません。この日は多くの「大人の人たち」が、舞台裏に控えているようなかたちでいてくれて、放送局員と高校生たちの「対話と対決」を見守ってくださいました。そのことが結果としてよかったと思います。
 住民ディレクターや市民塾の方々から、自分たちも勉強になったというコメントをいただき、それはとてもいいことだと思いました。大人が子どもに、放送人が素人に一方的に教えるのではなく、たがいに学ぶということが、とても大切だと思います。
080705_1707~0001.jpg080705_1707~0002.jpg
 この日はおおむねうまくいったのですが、二つの課題があったかと思います。
(1)PCなど機材のことは課題として残りました。すなわち放送局のPCが古いために、名札原稿づくりやメールに添付された写真のチェックに手間取り、島田さんが八面六臂でがんばりました。また名札のラミネート加工がこの日はうまくいきませんでした。このあたりは富山大学などサポートがあると、よりスムーズになると思います。
(2)二つのWSでやったことがらの「締め」の部分がちょっとゆるかったです。一つめのWSは、ただ打ち解けるためだけではないはずです。デジカメで写真を撮られる、そのために日頃とちがうポーズをとるということは、メディアで映し出されるという非日常的体験のおもしろさと危うさを考える材料になります。このあたりは名札ができあがったあと、別の機会に話し合ってみたらどうでしょうか。
 また二つめのWSは、「イメージ通り」「イメージとちがう」という時のイメージ自体が、テレビをはじめとするメディアによって造成されているということを確かめるいい機会です。このあたりは放送のプロだからわかっているというものではなく、送り手と受け手がともに振り返り、確認をしていくといいと思います。
080705_1550~0001.jpg
 今後、高校生たちはいくつかのワークショップをこなして、いわば番組づくりのための準備運動をしていきます。次に僕が富山へうかがうのは8月6日になるかと思います。そのときにはそれまでの成果の合評会のような会合が開催される予定です。その後、お盆を経て本格的な番組づくりに入りますが、そのしかけや仕組みについては、これからチューリップのみなさんと一緒に話し合っていきたいというふうに思っています。できればただの番組づくりではなく、「メディア・エクスプリモ」で展開しているような、持続的な市民のメディア表現に結びつく活動になればいいなと、僕は思っています。

(文責:水越伸)


 以下は、高校生のみんなが、当日のふりかえりシートに書いてくれたコメントです。
第1回・7月5日
・ テレビ局の裏側が見られた!って感じでした。とてもおもしろそうで、また、とても大きなプロジェクトなので頑張りたいと思います。(女子)
・ 局の見学でいつもは見られないもの見られて面白かった。いろいろな技術が導入され、ひとつの放送にも多くの人が連携してやっていることがわかった。(男子)
・ 本物のカメラに触れて実際の重さを実感した。地震が起きたので対応を生で見た。CMを買って流すとか、テレビ番組を買うと言ってましたが、どんな方法で取り引きされているのか。カンペできる機械があるのが意外でした。(プロンプターのこと)(女子)
・ 良くわからないまま参加したけど、わかりやすい話をたくさんきけたし、チューリップテレビの中をまわれたのでとても楽しかった。(女子)
・ 放送局の業務について少しわかった気がした。(男子)
・ TUTの方々や先生方との交流が楽しかったです。見学も様々なところが見られて楽しかったし驚くこともあったし、たいへん面白かった。プロジェクトの話をききましたが、「新しい見方で何かを見られるようになりたい」という私の期待に応えてくれそうで楽しみです。頑張ろうと思います。(女子)

(服部寿人、08年9月14日に付加)

 

この記事はアーカイブ, チューリップテレビ08-, 民放連プロジェクトに投稿されました タグ: , , . このパーマリンクをブックマークする。 コメントは受け付けていませんが、次の URL へトラックバックを残せます: トラックバック URL.