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南海放送08 Archive

3/7 MELL EXPOに民放連プロジェクト実践局多数参加

 3月5日から7日まで東京大学(東京都文京区)で開催されたMELL EXPOに民放連メディアリテラシープロジェクト実践局が多数出展されました。初年度の実践局であるTSBテレビ信州は、現在、長野市の公共施設「長野フルネットセンター」の指定管理者でもあり、その公的な場所を、長年に渡るメディアリテラシー実践の活動の場として活用するなど新たな試みを紹介されました。また今年度の実践局は3局とも出展されたほか、民放連自体としても出展もありました。さらに、過去の実践局の方も、会場に足を運んでくださいました。中には、4月から新しい実践を始めるので「来年は絶対出展します!」と宣言をしてくださった局も。会場にこられた放送局の方々は、とてもパワフルで、たくさんの方々と交流し、よく笑っておられたその表情が印象的でした。
 MELL EXPOの締めくくりには、来年度のメルプラッツオーガナイザーである伊藤昌晃さん(愛知淑徳大学)が「100年に一度の危機とよく耳にするが、それは100年に一度しか問えないことが、今問えるということでもあるだろう」と挨拶されました。テレビも開局以来の危機が叫ばれていますが、それは今、50数年来の転機でもあると同時に、50数年を経てはじめて問えることがあり、その巡り合わせの時期だともいえます。その今に、何を問い、どう答えていくのか。会場に足を運んでくださった放送局や、関心をよせる多くの方々のエネルギーに期待と願いを抱いた3日間でした。
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(報告:林田真心子 写真:劉雪雁)

3/2 民放連プロジェクト 読売新聞で紹介される

2月19日に開催された今年度の民放連プロジェクト報告会について、その内容と今年度の実践報告が読売新聞の記事として紹介されました。
見出しは「局と地元との交流大切」。ローカル局と地域が結びついていく必要性と可能性について、記事でふれられています。詳細は記事そのものをご覧ください!

3月2日読売新聞記事


2008年10月、初顔合わせ ―南海放送実践レポート(1)

 2008年10月、南海放送ラジオセンターが取り組んでいる民放連メディアリテラシー実践プロジェクトが、具体的に始動しました。当初は他の実施局と同じように、ワークショップを軸とした番組制作活動が想定されていましたが、ラジオに対する子どもたちの関心が薄い状況で、いきなり番組づくりを体験するというのは何か足りないということで、これまでにないタイプの実践を展開することになりました。
 プロジェクトの名称は、「マホラマ。--愛媛のワカモノ☆コミュニティ」。既に書いたように、ケータイとウェブサイトを積極的に活用しつつ、ラジオにしかできないことを仕掛けていこうというのがねらいです。もう少し踏み込んで言えば、次のような目標を設定しました。

  1. 高校生たちが、ケータイやウェブサイトをクロスメディア的に用いつつ、放送局のみなさんのサポートを得つつ、あるテーマのもとに地域の人びとの声を聞き、音源を手に入れ、番組を構成し、マイクの前で語り、リスナーのコミュニティの生み出すことを体験することを通じて、デジタル時代のラジオというメディアの課題を批判的に吟味し、その可能性を実践的に体感する。さらに、そのことを通じて、地域の多様性や人間のあり方など、ラジオを通して見えてくる社会の諸相についての認識を深める。
  2. 放送局のみなさんが、若い高校生たちとともに、クロスメディア的な番組づくりを経験することを通じて、若者のリアリティを体感するとともに、日常化した業務を新たな角度からとらえなおし、批判的に吟味し、ラジオというメディアの課題と可能性を改めて意識しなおす。さらに、そのことを通じて、デジタル時代のローカル民放局のあり方についての認識を深める。

 これを実現するために、水越研究室が民放連プロジェクトとは別に進めているメディア・エクスプリモ(独立法人科学技術振興機構(JST)のCREST研究の一つ)が研究の一環として生み出した「ケータイ・トレール」を、民放連プロジェクトで実装するというかたちをとることになりました。メディア・エクスプリモとしては、その成果をラジオにおいて実装し、広く社会実験をおこなうことになります。

 10月5日(土)は、このプロジェクトに参加する高校生たちとの初顔合わせでした。その前日に水越伸さん(東京大学大学院情報学環)、沼晃介さん(東京大学先端科学技術研究センター)、飯田豊(福山大学)の3名で松山入りし、南海放送の山内美帆子さん、平田瑛子さんと、これからの方向性に関する打ち合わせをおこないました。

ws1-2.jpg そして、初顔合わせ当日には、愛媛県立伊予高等学校愛媛県立伊予農業高等学校、愛媛大学農学部附属農業高等学校(今年度より愛媛大学附属高等学校)、愛媛県立松山商業高等学校新田青雲高等学校の高校生たち、合計14名が南海放送を訪れました。山内さんと平田さんたちが、街なかでのスカウト活動、高校訪問、ウェブサイトでの公募など、さまざまな方法で声かけをおこない、それに応えてくれたみなさんです。高校生たちを迎えたのは、局員の方々だけでなく、普段から局で内勤のアルバイトをしている大学生のみなさん。4つのグループに分かれた高校生たちに一人ずつ付き添い、これからの活動をサポートしてくれる実に心強い存在です。
ws1-4.jpg まず、飯田が民放連プロジェクトの主旨を少しだけ説明させていただき、当日の朝に松山にいらっしゃった駒谷真美さん(昭和女子大学)が、メディアリテラシーに関する事前アンケートと個別インタビューを実施しました。
 この日に実施したワークショップは、(1)ケータイを使った自己紹介ムービーの撮影と鑑賞、(2)局内見学のなかで「イメージと同じ」「イメージと違う」と感じた写真をグループごとに撮影し、お互いに発表し合う、というものでした。
 (1)は今後の活動に関連する、準備運動的なワークショップ。会場が賑やかだったため、うまく声が拾えなかったり、機種によって画質が違っていたりということがありましたが、ケータイでどういったムービーが撮れるのかということを体験的に理解することができました。みんなが撮影したムービーのデータをコンピュータに保存し、プロジェクタでいっせいに投影した様子は圧巻でした。
 (2)は似たような試みを今年、富山チューリップテレビ岡山放送でも実施しており、初顔合わせの会合で局内見学と併せておこなうのに適しているワークショップです(したがって、ここでは詳しい説明を省略します)。事前の計画には無かったのですが、案内役の山下泰則さん、戒田節子さんのはからいで、ラジオスタジオの見学のさい、生放送中の番組に高校生たちが飛び入りで出演するという体験もしました。そういった即興ができる柔軟さや軽快さがラジオの魅力である一方、放送に声を乗せるということは社会的責任がともなう営みだということも、高校生たちに身をもって学んでほしいと思います。

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ws1-12.jpg 会合の最後、高校生たちにダイヤル式のポケットラジオがプレゼントされ、みんなでチューニングをしてみました。普段からラジオを聴いているという人は、ごく少数でした。ダイヤルをひねってチューニングをするのは、どうやら高校生たちにとって初めての経験のようです。
 南海放送が取り組む民放連プロジェクトは、毎週日曜夜11時から1時間放送される「1116 night school 第一マホラマ。学園」という番組のなかで、継続的に紹介されることになります。プロジェクトに参加するために集まった高校生たちは、この番組では「生徒会(ユース)」と呼ばれており、ちょうど初顔合わせの日の夜が最初の放送でした。初MCの現役女子大生マリィーさんが「新任英語教師」、ベテランMCの藤田晴彦さんが「教頭先生」、プロジェクトをサポートしてくれる大学生たちが「教育実習生」、そしてディレクターの平田瑛子さんが「学園長」という位置づけ。中高生のリスナーが学園の「生徒」ということなので、その他のリスナーはメール投稿のさい、「保護者」もしくは「PTA」と名乗るルールになっているそうです。
 この番組自体と民放連プロジェクトとは、成り立ちの経緯からして互いに独立しているものの、ある部分で重なっているという難しい関係にあります。この両方を軌道に乗せるための苦労は大変なものですが、高校生のみなさんがラジオに関するメディアリテラシーを総合的に学ぶにあたって、そして局のみなさんがラジオの新しい価値を模索するにあたって、とても豊饒な土壌が整ったといえるのではないかと思います。

(文責:飯田豊/福山大学)

8/2 南海放送を訪問しました

 8月2日(土)、水越伸さん(東京大学)、小川明子さん(愛知淑徳大学)、飯田豊(福山大学)の3名で、愛媛県松山市の南海放送を訪問させていただきました。水越さんは2度目、小川さんと僕は初めての訪問になります。rnb_080802_1.jpg
 このプロジェクトのコアメンバーである、ラジオセンターの山下泰則さん、戒田節子さん、平田瑛子さん、メディアセンターの山内美帆子さんのほか、若手のフリーディレクターの方、ADや内勤として局の仕事に関わっている学生さんたちが、会合に参加して下さいました。

 この日はまず、民放連プロジェクトに取り組んでいる他の実施局(チューリップテレビ、岡山放送)の進捗状況を簡単にご報告したうえで、南海放送がこれから試みようとしているラジオ・リテラシーの実践について、企画を具体化するための議論というよりも、いま一度、このプロジェクトのそもそもの意義、その先の可能性といったことがらに立ち戻りつつ、アイデアや意見の交換をさせていただきました。ここで確認したことは、おおよそ次の通りです。

  1. ラジオセンターとメディアセンターの混成チームであることを活かして、インターネットやケータイと絡めながら、クロスメディア的な実践を展開する。言い換えれば、インターネットやケータイが、ラジオの脇を固めるようにする。
  2. あらかじめ想定していたスケジュールより遅れているように思えるが、他の実施局とは方法論が異なるので、ここで焦る必要はまったくない。来年度以降の局の営みにつながる実践をデザインすることが、何よりも重要である
  3. それに対して、他の実施局と共通して言えるのは、若手の局員、フリーディレクター、学生のみなさんが、自律的に動くことができる環境が大事だということ。ひとりひとりが主体的に、柔軟に動くことができるチーム体制を。
  4. ラジオに携わっていらっしゃったOBの方に来てもらい、たとえば、ラジオドキュメンタリーの鑑賞会を設けたり、音響効果を体験するワークショップをおこなうなど、老舗局ならではの資源を活用する。

 1.については、水越伸『メディア・ビオトープ --メディアの生態系をデザインする』(紀伊國屋書店、2005年)でいうところの「ドームモデル」を引き合いに出し、共感を共有するコミュニティをはぐくむメディアとして、ラジオのあり方を捉え直してみることができるのではないかという話になりました。
 かつては深夜ラジオが、語り手と聴き手のあいだで擬似的な双方向性を担保していて、若者たちの共感を媒介する等身大のメディアとして機能していました。しかし現在の子どもたちは、そもそもラジオがどういうものかを知らないかもしれない。古いラジオ受信機を前にすると、チューニングの仕方も分からないかもしれません。
 今、子どもたちにとって身近なメディアといえば、インターネットとケータイ。ただし、これらは子どもたちの発信欲求に応えて、ごく小さなドームをつくる機能を持ってはいますが、みんなで共有する仕組みにはなっていません。そこで、インターネットやケータイの特性を活用しつつ、「放送」にしかできないことを仕掛けていくのが面白いのではないでしょうか。番組制作だけに焦点をあてるのでなく、共感のドームをつくって共有することを子どもたちに体験してもらい、たんに作り手としてだけではなく、送り手をはぐくむための実践を展開しようというわけです。rnb_080802_2.jpg

 打ち合わせのあと、メンバーのみなさんと一緒に、ごく簡単なワークショップをやってみました。「ローカルの不思議」というプロジェクトの一環として編み出された、異なる地域のイメージを模造紙に描いていくワークショップです。その仔細については割愛しますが(→「ローカルの不思議」については、こちらの論文を参照して下さい)、南海放送のある「愛媛」のほか、水越、小川、飯田それぞれのホームタウンである「石川」、「愛知」、「広島」のイメージを互いに出し合い、話し合うということをしました。この局で考案しているプロジェクトと直結するわけではないですが、これまで民放連プロジェクトでおこなわれてきた活動と親和性があり、今年度に関していえば、岡山放送の実践と深く関係しているということで、みんなで体験してみたわけです。rnb_080802_3.jpg

 プロジェクトの具体化はまだこれからですが、この日の会合を通じて、ラジオだからこそできる恊働的メディアリテラシー実践のあり方が、明確な輪郭を帯びてきたように感じました。これからもたびたびおうかがいし、実践の支援をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします!

(文責:飯田豊)

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